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CULTURE 2019.10.31 

発達障害の叔父を捉えたドキュメンタリー映画「だってしょうがないじゃない」

発達障害の叔父の日常を3年にわたり捉え、海外の映画祭でも高い評価を得た坪田義史監督のドキュメンタリー映画が11月2日より公開される。

「だってしょうがないじゃない」は釜山国際映画祭のWide Angle部門でワールドプレミア上映された。

‟発達障害”とは、脳機能の発達の偏りから生じる、生まれつきの障害のことで、その症状は自閉症から学習障害までと十人十色である。

リリー・フランキーが主演した『シェル・コレクター』などの劇映画で国内外から高い評価を受ける坪田義史監督が、発達障害のひとつであるADHD/注意欠如多動性障害と診断されたのは40歳を過ぎた頃。親戚に相談した監督は、同じく発達障害のひとつである広汎性発達障害を持った61歳の叔父、まことさんの存在を知る。本作『だってしょうがないじゃない』は、衝動的にカメラを持って叔父さんに会いに行った監督が、以降3年間にわたり叔父さんとの交流を深めながら、その姿を捉えたドキュメンタリー映画である。

5年ほど前に母親を亡くし、障害年金を受給しながら湘南の一軒家に一人で暮らしているまことさん。スーパーで弁当を買ったり、家の前を掃き掃除したりする姿からは分からないが、軽度の知的障害を伴う自閉症と診断されている。外出時に家の様子が気になって何度も引き返したり、歯磨きの際に何十回も口をゆすいだりと、坪田監督が捉えた映像には、まことさんの一風変わった日常がおさめられている。その突拍子もない言動にはつい笑ってしまうものもあるが、遠くを飛ぶヘリコプターに向かって手を振る無邪気な様子や、庭の大木を伐られて悲しい表情を浮かべるまことさんの感情を共有していくうちに、彼の日常がまるで我が事のように感じられるようになる。

40代の坪田監督と60代のまことさんは、ともに発達障害と診断されている。本作は不思議な絆で結ばれた2人のバディ・ムービーでもある。

本作が投げかけるのは「親亡きあとの障害者の自立の困難さ」や「知的障害者の自己決定や意思決定の尊重」といった社会的な課題である。だがまことさんの日常を見ていくと、実は彼と自分との間にさしたる違いはない、一風変わった言動もすべて個性の範疇ではないか、と改めて考えるようになる。

「だってしょうがないじゃない」というタイトルには、お互いの違いを認め合いながらも、みんなが自分らしく生きていこうじゃないか、という前向きなメッセージが込められているような気がする。発達障害を抱える人なんて身近にはいない、もしくはいたとしても気がつかない……。そんな人にこそ観てもらいたい、自分自身に跳ね返ってくるドキュメンタリーである。

「だってしょうがないじゃない」は11月2日(土)よりポレポレ東中野ほか全国順次公開。119分。制作:サンディ株式会社 https://www/datte-movie.com

文=永野正雄(ENGINE編集部)

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