2019.10.08

CARS

ロータス・エヴァイヤを手がけたデザイナーに聞く しのぎを削って生まれたもの

価格は200万ポンド(約2億7000万円)で、最高出力が2000psのハイパーEV??利汽車(ジーリー)傘下となったロータスは、何もかも変わってしまったのか?
長身のハット氏が前に立つと低くワイドなスタイリングが際立つ 。車体サイズは4459 × 2000 × 1122mm。重量は1680kg。うち70kWhのバッテリーが600kgを占め、CFRPのモノコックは単体で129kgしかない。バッテリーは車体中央に、各2基のモーターとインバーター、シングル式ヘリカルギア遊星歯車の変速機がセットとなる ユニットは前後車軸上に配し、4輪を駆動する。

ロータス(LOTUS)の新型、エヴァイヤという名は「最初の存在」という意味を持つという。同社の慣例にならい頭文字は ”E”だが、その名の通り従来のロータスとはまったく異なる新しいモデルだ。なんとエヴァイヤは、EVである。


その中身は完全にゼロから構築された。電動パワートレインは技術提携を結ぶウイリアムズ・アドバンスド・エンジニアリング製。CFRPモノコックは伊モデナのCPC社製だ。新たな技術者もぞくぞくと集結している。つまりエヴァイヤは、親会社ジーリーの豊富な資金によって生まれた、これまでのロータスとの繋がりがほぼないモデルなのだろうか?


そんな思いが晴れたのはJAPAN LOTUS DAYの会場、富士スピードウェイだった。ロータスは英国、アメリカに続くエヴァイヤのお披露目の場所に、ここ日本を選んだのだ。


オープニングで流れた動画の中に、見知った顔があった。30年以上ロータスに在籍するエンジニア、リチャード・ラッカムだ。初代エリーゼを世に出したキーパーソンの1人で、エヴォーラにも深く関わった彼が、現在ロータスのコンセプトカー部門を率いている。


来日したデザイナーで、在籍20年になるバーニー・ハットによれば、エヴァイヤの車体の中に空気を通し、機能と個性を両立させた多孔性(ポロシティ)というコンセプトは、ラッカムのアイデアだ。


パワーユニットが小さなEVだからこそ産まれたもので、その結果「自然が生み出した、水の流れによって産まれた谷のような、美しい造形に繋がった」という。以前はラッカムと意見がぶつかることも多く「空力を追求しすぎると美しいクルマにならない。エヴァイヤでやっと彼と上手くバランスが取れた」とハットは軽口をたたく。


すでにロータスに20年在籍しているリード・デザイナー のバーニー・ハット氏は現在47歳。エヴァイヤの前に は3イレブンも手がけた。共にエアロダイナミクスを重視した流れるようなボディ・ラインが特徴だ。ランチア・ストラトスとの出会いがカー・デザイナーを志すきっかけとなったそうで、かつてベータの2ℓ直4を搭載したレプリカ・モデルも所有していたという。

またエヴァイヤはロータスらしいハンドリングを実現すべく、あえて電動油圧式パワー・ステアリングを採用している。どうやら先人たちの英知や伝統は確実に受け継がれているようだ。


そうなると俄然気になるのは噂される次期型エリーゼやエキシージだ。ハイパーカーというコンセプトを実現するためエヴァイヤはEVになったが、ロータスは内燃機関を見限ったわけではなく、様々な可能性を探っている。別れ際ハットは「期待して欲しい」といい笑顔を見せた。


テール・ランプはボディの中を抜ける空気の出口を取り囲むように配置され、まるで戦闘機のジェット・エンジ ンのアフター・バーナーのように見える。リア・ウイングは昇降式で、車体下部のディフューザーと連動して上下する。
ドア・ミラーはマクラーレン・スピードテール同様の格納式で、両ドアの内側にモニターが備わる。
天井にはかつてのエスプリのようにスイッチ類があり、バック・モニターもここに配置される。

文=上田純一郎(ENGINE編集部) 写真=山田真人

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