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CULTURE 2019.10.1 

プログラムはオール・チャイコフスキー マリインスキー歌劇場がやってくる!

ロシアの古都サンクトペテルブルクの芸術文化の殿堂、マリインスキー劇場がワレリー・ゲルギエフとともにチャイコフスキーのオペラ、交響曲、協奏曲を披露する。

1860年創設という歴史と伝統を誇るマリインスキー 劇場(歌劇場)はオペラとバレエを上演する劇場で、ロシアの古典オペラの多くを世界初演するとともにヨーロッパの名だたる作曲家の作品を上演 している。

ワレリー・ゲルギ エフが芸術総監督&首席指揮者に就任したのは88年。当時35歳の若さだった。以来、世界的な名歌手を育成し、海外公演を数多く行い、ゲルギエフはいまや巨匠と呼ばれる存在となった。

古都の中心に威風堂々たる姿を見せるマリインスキー劇場。アレクサンドル2世の皇后マリアの名に因む。

「当初、劇場は資金難で、ロシア作品以外は上演できない状態でした。でも、私は歌手、オーケストラ、合唱、バレエなどの才能を信じ、資金集めに奔走し、世界に認めてもらう劇場にしようと尽力しました。いまは海外公演がもっとも多い劇場となっています」とゲルギエフ。

その底力を示すべく、今秋日本で『チャイコフスキー・ フェスティヴァル2019』を開催する。チャイコフスキーはロシアが世界に誇る大作曲家。作品は多岐に渡り、メロディ・メーカーとしても人気が高い。今回はプーシキン原作の壮大で力強く劇的なオペラ《スペードの女王》と、同じくプーシキン原作のオペラ《マゼッパ》、交響曲全6曲、協奏曲5曲がプログラムに組まれている。

マリインスキー歌劇場管弦楽団。協奏曲はアレクサンドル・ブズロフ(チェロ)、五嶋龍(ヴァイオリン)、セルゲイ・ババヤン(ピアノ)、辻井伸行(同)がソリストとして参加。

ゲルギエフが選曲に関して語る。「交響曲第6番《悲愴》やピ アノ協奏曲第1番はよく知られた名曲ですが、今回は日本のみなさんにぜひオペラ《マゼッパ》を観ていただきたい。 演出や舞台装置のないコンサート形式で演奏しますので、歌手は歌に集中できます。もちろんオペラ歌手もソリストも私が太鼓判を押す実力者を連れてきます」

《マゼッパ》は世紀のウクライナが舞台。狂気の愛、政治的陰謀などが渦巻くドラマ チックなオペラで、チャイコフスキーの美しい音楽が抒情と激情の交錯する世界をはげしく深く描き出す、歴史的絵巻物である。

オペラ「スペードの女王」の舞台。これはチャイコフスキーが50歳のときに書いたオペラで、円熟した管弦楽法が印象的。現実と幻想が交錯し、サスペンスの要素が濃厚だ。

ゲルギエフは全身を使って 指揮し、その演奏は一瞬たりとも弛緩せず、聴き手を一気に音楽の内奥へと引き込む。指をひらひらと宙に浮かせながら指揮する特有のスタイル は、オーケストラ、ソリスト、歌手への指示も実に個性的。奏者全員が一丸となって音楽に没入し、全編に緊迫感がみなぎる。

チャイコフスキーは愛の喜び、悲しみ、人間の運命などを民族色豊かな音楽に仕上げた。その音楽からはロシアの大地、風土、文化、人々の気質が浮かび上がる。そんなロシア魂をゲルギエフのタクトから受け取りたい。

2015年からミュンヘン・フィルハーモニー管弦 楽団の首席指揮者を務めるゲルギエフが、ブルックナーゆかりのオーストリア・リンツの聖フロ ーリアン修道院で行っているライヴシリーズ。交響曲第8番はスケールの大きな均整のとれた交響曲で、ブルックナーの最高傑作と称される。 (ワーナーミュージック)。

文=伊熊よし子(音楽ジャーナリスト)

※マリインスキー歌劇場管弦楽団の東京公演は、12月5日・サントリーホール(六本木)、12月6日、7日・東京文化会館(上野)。そのほか福岡、高松、浜松、堺での公演もあり。

問い合わせ先=ジャパン・アーツぴあ
TEL.0570-00-1212
http://ja.pia.jp/

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