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FASHION 2019.7.10 

気温も見た目もクールになれる? ニッポンの「日傘男子」

列島全体で年々ヒートアイランド現象が進んでいる。酷暑を乗り切るため、クールビズに次ぐ一手となるのが日傘だ。官と民のコラボレーションで、男の涼気の〝復活〞を探る。

男性向けの晴用長傘は麻100%でスーツにもマッチするシックな色合い。自然素材を生かした丁寧な仕上げは高級感にあふれる。3万2千円(小宮商店/Tel.03-6206-2970)

今年6月、「エコライフ・フェア2019」で原田義昭環境相自らが「日傘男子」として登場、男性の活用をアピールした。確かに毎年のように最高気温が更新されている昨今、首回りを開放したクールビズだけでは抜本的な解決にはならない。灼熱の陽光を遮る日傘は効果的だろう。

埼玉県の「日傘男子広め隊」。現在は約100名。県内の百貨店ともコラボし、男性用日傘のPRを積極的に行っている。

自治体としてより積極的なプロモーションを手掛けているのが埼玉県だ。都心を上回るヒートアイランド現象が進むことから、県庁の環境部が2017年「日傘男子広め隊」を発足。科学的なデータを裏付けに、街頭でのプロモーションなどを通じて県民への周知と啓蒙に励む。スタッフのひとり、相澤和哉氏は日傘の効果を次のように語る。

「遮熱機能のある日傘を差すと、頭部の気温は4~9℃下がるというデータがあります。ぜひ試していただきたいですね」現在、男性の日傘利用率は14%。7割近い女性に比べると圧倒的に低い。だが日本史を紐解けば、「日傘男子」の先達は江戸時代に遡る。多くの洒落者に愛用されたが、あまりの人気ぶりに、松平定信が寛政の改革の一環として禁止令を出した記録が残る。町民文化の爛熟期であったことを考えれば、単なる日除けではなく、贅沢な嗜好品だった証だろう。

江戸時代とは異なり、現在は官民挙げての推進。それに呼応するように、市場も動きを見せる。「今年は売れ行きがいいです」と語るのは、洋傘の老舗である小宮商店代表・小宮宏之氏。「以前は40代以上のお客様が多かったのですが、最近は若い人も増えていますね」

バッグに収納できる晴雨兼用折り畳み傘。裏地のラミネート加工でUVカット率・遮光率が99.99%以上。ダンガリーシャツを思わせるストライプが粋。1万7千円(小宮商店/Tel.03-6206-2970)

同店では男性用に特化した晴雨兼用の折り畳みモデルを昨年から本格的に販売し、今年はさらに晴天専用の長傘をラインナップした。麻100%の一枚仕立てで清涼感は申し分ない。落ち着きのあるデザインも支持を集め、発売ひと月ほどで品薄になるほどの人気商品になっている。

鞄や時計など、手にするものには機能と意匠の両立を求めるのが男たちの性(さが)。日傘普及の空模様は、暑さと共にそのふたつの進化にかかっているようだ。

文=酒向充英(KATANA) 写真=杉山節夫

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