2019.07.10

CARS

718ケイマン&ボクスターGTS試乗 ミドシップ・ポルシェを楽しむなら、GTSに限る!

ケイマン&ボクスター・シリーズのなかで最もパワフルでレーシーなテイストを持ち、サーキット走行も難なくこなすとびきりスポーティなモデル。試乗したENGINE編集部一同、やっぱりGTSは最高!

911との違いは?

(塩澤)ここではミドシップ・モデルの718ケイマンとボクスターを取り上げます。911はハードコアの頂点と入門みたいな乗り比べでしたが、こちらはともにトップ・モデルのGTSです。エンジンはSと同じ4気筒の2.5ℓターボだけど、最高出力はSより15馬力高い365馬力で、試乗車はケイマンがPDKでボクスターがマニュアルでした。
(村上)いやぁ、音が凄かった。
(荒井)確かに凄かった。でも911から乗り換えると、このくらいクルマが小さいといいなと思った。
(村上)小さいといってもフロントは同じ大きさだよね。ホイールベースもこっちの方が長い。
(齋藤)でも、リアのオーバーハングが短いから、結果として全長は短くなってる。
(塩澤)小さいというか、手の内にある感は911よりあるよね。
(村上)それはたぶん、大きさのせいではなくて、ミドシップゆえのハンドリングや動きの違いだよね。


(上田)重厚な911と比べると、すごく軽やかだった。
(齋藤)やっぱり絶対的な動力性能が違うからね。でも、今回あらためて乗ってみて、ケイマンもボクスターも4発になってからのモデルはGTSに限ると思った。
(村上)確かにそうだね。これまで何度も4気筒になってからのボクスターとケイマンを取り上げてきたけど、6気筒時代のように街で交差点を曲がっても気持ちがいいというような、そういう種類のクルマではなくなったんだよね。
(齋藤)それこそ911Tよりスポーティで、目を三角にして走った方が気持ちがいいクルマですよ。結局、2ℓでも2.5ℓでも、この4気筒ターボは低い回転でバタバタいってるときより、高回転で回したときの方が新ユニットの良さが前面に出てくる。6発はアイドリングから2000、3000回転くらいまでハーフ・スロットルで回しているときも気持ちが良かったけど、そういうものではないよね。


上2枚の室内の写真はともにケイマンで、下がボクスター。どちらもGTSのテーマ・カラーのブラックでまとめられており、ステアリングやシート・バック、シフト・ノブなどにはアルカンターラがふんだんに使われている。試乗車のケイマンはGTSインテリアパッケージ付き。


4気筒ターボをどう乗るか

(村上)なによりも吹け上がり方が全然違う。4気筒はアッという間に吹け上がるし、音も違う。高回転域を楽しまなかったら意味がない。
(齋藤)4発になったのと同時にターボ過給になったのが大きい。どうしてもパワー・ゾーンがタイトになるからね。
(上田)マニュアルで乗るのが難しくなった。
(塩澤)優秀なプログラミングのPDKに任せた方が速い。どうせならエンジン・コンピューターをラリー・カーみたいにモーテックに替えて、アクセルを戻してもスロットルが開きっぱなしになるようにしたらどうだろう。
(荒井)コーナーでアクセルをオフにするたびにパンパンいうアレですね。
(村上)実際、山道を本気で走ろうと思ったらそうするよね。コーナーのたびにアクセルを小刻みに当てて立ち上がりで失速させないようにする。
(齋藤)過給ゾーンから外したくない。
(上田)そうなってくると、よりキャラクターが合ってるのはケイマンだと思う。
(村上)いや、絶対ケイマンだよ。ゆっくりでも気持ちよく風を感じて走りましょうというクルマではない。


(齋藤)パワー・ユニットが変わって、クルマの性格も変わったと思う。
(荒井)確信犯だと思うな。4気筒ターボを選択した時点で、このエンジンの良さを生かすためにスポーティな方に振ることが決っていたと思う。
(村上)でも、まだシャシーがピッタリ合っているわけではない。これだけエンジンが変わって走りの性格が変わったのに、シャシーはキャリーオーバーだから違和感がある。
(齋藤)いままで2ℓとか2.5のSとかに乗ってみて、それなりにパワー・ユニットの面白さとか良さはもちろんあったんだけど、GTSに乗ると、このエンジンはこういう仕立てにしたときが一番バチンとピントが合うんだというのがわかった。それはボクスターでもケイマンでも同じだと思う。


(村上)乗り心地は相当硬くなってるけどね。
(齋藤)でも、こっちの方向に行かざるを得ない。
(上田)すごくレーシングカー的な乗り心地ですよね。
(齋藤)それでも、箱根で乗ってもGT3RSほど背骨が辛くない。突っ張ってる感じもするし、上下動もあるんだけどね。求道者が乗るクルマ!!
(村上)それはともかく、このクルマの一番いいところは、とてつもなくカッコいいことだと思うよ。



求道者が乗るクルマ!!

(村上)それはともかく、このクルマの一番いいところは、とてつもなくカッコいいことだと思うよ。
(塩澤)確かにカッコいい。
(新井)僕はボクスターにしてもケイマンにしても、GTSじゃなくても好きですけどね。ポルシェにはスポーツ性しか求めてないので。そもそも、屋根を開けてゆっくり走るなんて、ドーでもいいんですよ。だから突きつめればケイマンの方がいい。
(齋藤)求道者だ!
(新井)しかもケイマンは安くなりましたからね。その頂点だっていうんですから、そりゃあGTSは素晴らしいに決まってます。
(村上)元々スポーツ性しか求めていないと選ぶのはケイマンなんだよね。でもね、ケイマンが安くなったと思うのはダマシだからね。


(新井)え? どういう意味でしょう。
(村上)あれはケイマンが安くなったんじゃなくて、ボクスターが高くなっただけだから。
(新井)な、なんと!
(一同)爆笑。
(齋藤)まあ、それはともかく、ケイマンもボクスターも6発の頃と比べると、確実にワイルドになった。前はもっとフェミニンな感じがしたけどね。
(村上)そうだと思うよ。一番のポイントは911とケイマン&ボクスターがずっと似たようなポジションにいて、差別化しなければいけなかったということだと思う。同じ土俵じゃないところに行くのが大事だった。なにしろ911よりケイマンの方が運動性能が高いから買ったというジャーナリストもいたからね。
(齋藤)その6発の頃よりケイマンもボクスターもさらに運動性能が高くなってる。そうなると、どうせ買うならやっぱりGTSでしょ。
(一同)賛成!!



718ケイマンGTS(PDK)


駆動方式 エンジン・ミドシップ縦置き後輪駆動全長×全幅×全高 4385×1801×1286㎜ホイールベース 2475㎜車両重量 1405㎏エンジン形式 水平対向4気筒DOHC16V直噴ターボ排気量 2497㏄ボア×ストローク 102.0×76.4㎜最高出力 365ps/6500rpm最大トルク 43.8kgm/1900-5000rpmトランスミッション デュアルクラッチ式7段自動MTサスペンション前 マクファーソン式ストラット/コイルサスペンション後 マクファーソン式ストラット/コイルブレーキ前後 通気冷却式ディスク/モノブロック・キャリパータイヤ 前/後 235/35ZR20/265/35ZR20車両価格(税込) 1053万2000円

718ボクスターGTS(6MT)


駆動方式 エンジン・ミドシップ縦置き後輪駆動 全長×全幅×全高 4385×1800×1270㎜ ホイールベース 2475㎜ 車両重量 1375㎏ エンジン形式 水平対向4気筒DOHC16V直噴ターボ 排気量 2497㏄ ボア×ストローク 102.0×76.4㎜ 最高出力 365ps/6500rpm 最大トルク  42.8kgm/1900-5000rpm トランスミッション デュアルクラッチ式7段自動MT サスペンション前 マクファーソン式ストラット/コイル サスペンション後 マクファーソン式ストラット/コイル ブレーキ前後 通気冷却式ディスク/モノブロック・キャリパー タイヤ 前/後 235/35ZR20/265/35ZR20 車両価格(税込)1038万円

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話す人=村上 政編集長+齋藤浩之+塩澤則浩+荒井寿彦+新井一樹+上田純一郎(すべてENGINE編集部) 写真=望月浩彦

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