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ブライトリング「クロノマット」がフラッグシップとなった理由/第2回 [哲学篇]

「ENGINE WEB special issue for BREITLING」の2回目は哲学篇。ブライトリングのフラッグシップ・モデル「クロノマット」は、いかにして生まれ、現在まで続く人気モデルとなったのか? 今日、ブラントリングが掲げる製品哲学と、その誕生秘話を通して考えてみる。

文=山田龍雄 写真=宇田川 淳/ブライトリング

BREITLING/ブライトリング
CHRONOMAT JSP MOTHER OF PEARL LIMITED/クロノマットJSP マザーオブパールリミテッド

ナチュラルカラーのマザーオブパール(真珠母貝/MOP)ダイアルに、ブルーMOPのインダイアルを組み合わせた日本限定モデル。サテン仕上げのライダー・タブ付きベゼルが、男らしくスポーティな印象を醸す。自動巻き。ステンレススティール、ケース直径44㎜、200m防水。限定300本。税別108万円。
採用される自動巻きクロノグラフ・ムーブメントは、COSC認定クロノメーターを取得する自社設計・開発の「キャリバー 01」。サファイアクリスタル製のケースバックを通して、その精緻な動きを堪能できる。
極めて薄くスライスされ、ダイアルにセットされた着色を施していないナチュラルMOPは、光に当たると七色に輝く。インダイアルのブルーカラーのMOPとのコンビネーションにより、夏にふさわしい爽やかな印象だ。

BREITLING STRATEGY「復活の命運をかけた第3の柱」

第1回では、1979年、クオーツショックに後継者難が重なり深刻な経営危機に陥っていたブライトリングの事業が、ブライトリング家からアーネスト・シュナイダーへ受け継がれたストーリーを紹介した。ブランドの存亡をかけ、アーネストが全霊を傾けて取り組んだブライトリング復活戦略の基本は、まず製品カテゴリーに3つの柱を構築することだった。ひとつは1952年に誕生したナビタイマーを中心とした伝統的なクロノグラフの継承であり、もうひとつが時流に応じ、エレクトロニクスの先端技術を駆使した多機能ウォッチの開発だ。そして第3の柱がブライトリング復活の命運をかける新型自動巻きクロノグラフの開発だった。その新たなクロノグラフこそ、1984年に発表された『クロノマット』だったことは第1回で示した通りだが、今回はそのクロノマットの開発プロセスに焦点を当て、ブライトリングの製品哲学に対する考え方に迫っていく。

クオーツ時計の席巻、過労による体調不良からブライトリング社の経営を続けることが困難となったウィリー・ブライトリング氏(左)に代わり、1979年に経営を引き継いだのが、当時の最先端技術である電子工学の専門家アーネスト・シュナイダー氏(右)だった。ウィリー氏はアーネスト氏にすべてを託し、間もなく息を引き取った。写真/『TIME OF LEGEND』(2016年12月1日発行)より   以下※

クロノマットの開発がブランド復活の鍵を握った

ブライトリングの事業を継承したアーネスト・シュナイダーにとって最大の課題が、ウィリー・ブライトリングの意思を受け継いだ、新たな機械式クロノグラフの開発だった。課題は山積していた。高性能な自動巻きクロノグラフ・ムーブメントの選定と、クロノグラフに精通した時計職人の確保、そして何よりも難題だったのが新生ブライトリングを象徴するデザインだった。それはウィリーから伝えられていた、ブライトリングの製品は“プロフェッショナルのための計器”であるというブランド哲学をいかにデザイン反映させるかにこだわっていたからだ。

フレッチェ・トリコローリ(Frecce Tricolori)とは、三色旗(=イタリア国旗)の矢を意味するイタリア語。1961年に創設されたイタリア空軍所属のエアロバティックス飛行チーム「第313曲技飛行隊」を指す。9機の編隊と1機のソロ、全10機で編隊を組む世界有数のエアロバティックスチームで、使用する機体はアエルマッキ社製のジェット練習機(写真MB-339)。※

新型クロノグラフの設計に没頭していたアーネストに転機が訪れたのは1982年のことだった。イタリア空軍が、アクロバット飛行チーム“フレッチェ・トリコローリ”のためのオフィシャル・クロノグラフを公募したのだ。これはプロのパイロットの意見を直接聞くことができる絶好のチャンスだ、と考えたアーネストは、さっそく公募に応じることを決断し、すぐさまイタリアに飛んだ。フレッチェ・トリコローリ所属のパイロットたちに会うと、彼らは応募するクロノグラフを見せてくださいと言う。アーネストが「それは持ってきていません。あなたたちの意見を聞きに来たのです。その意見をこれから開発する新しいクロノグラフに反映させるのです」というと、彼らは一様に驚いたという。それは通常、公募に参加する時計メーカーは既存のクロノグラフで応募してくるもので、自分たちの意見を聞いてから開発に着手するなんて話は前代未聞だったからだ。

アーネスト・シュナイダー氏が、フレッチェ・トリコローリのパイロットたちのアドバイスを聞きながら、それを形にしていった際のスケッチの数々。中央下には、ライダーラブの具体的な構造にまで踏み込んだものも見える。※

パイロットとのディスカッションで誕生したクロノマット

アーネストは、彼らの話を聞くうちに、それまでのデザインはすべて白紙に戻し、ゼロから設計し直す必要があることを悟った。さまざまなディテールが、新たな機能を持ちながら具体的な形として、彼の脳裏に浮かんできたのだ。例えば、フライトジャケットに引っ掛かりにくいラグやケースのフォルムや、グローブを嵌めたまま操作ができるリュウズとプッシュボタンの形状。クロノグラフ作動中に別の経過時間を知りたいという声を反映した、回転ベゼルの搭載。しかも経過時間より残り時間を知りたいという人のための、15分と45分の表記を交換できる、ネジで取り外せるライダー・タブの存在。さらに高度1万mの上空の強烈な陽の光のなかでも視認性を確保できる両面無反射コーティング風防のアイデアなど、多くのディテールにプロのパイロットたちの意見が取り入れられていった。これらの意見をもとに、微妙にディテールの異なるプロトタイプを100本製作して、彼らに実際の飛行訓練で着用してもらい、その結果、ベゼルの高さや風防ガラスの強度など、いくつかの改良が加えられていった。

こうして完成した自動巻きクロノグラフは、すべてのディテールに意味を持つ“プロフェッショナルのための計器”であると同時に、それらのディテールはひとつに集約されることによって生まれたデザインは、それまでのどの時計にもなかった情熱的なスタイルでもあった。ブライトリングが、フレッチェ・トリコローリのオフィシャル・クロノグラフに採用されたことは言うまでもないだろう。1983年に採用されたフレッチェ・トリコローリ・モデルは、翌1984年には、それをベースにした市販用の自動巻きクロノグラフ『クロノマット』となり、バーゼルフェアで正式発表された。いまだクオーツ全盛が続いていた時代だったが、その新作は画期的な機械式時計の登場を待ち望んでいた世界中の時計愛好家たちが絶賛。クオーツの逆風をはねのけ大ヒットとなった。

パイロットたちのアドバイスを元に様々な改良が施され、文字通り“プロフェッショナルのための計器”として自他ともに認める仕上がりを誇ったクロノマット フレッチェ・トリコローリ・モデル。※

スタイリッシュで情熱的なデザインが世界中で絶賛 

ブライトリング復活のミッションを担ったクロノマットの大成功は、その高い機能性を持つ高性能クロノグラフだったこともさることながら、スタイリッシュなデザイン性と多彩なバリエーションも大きな要因だった。ケースやベゼルの素材、文字盤のカラーやインデックスなどの種類も豊富にラインアップし、そして何よりもケースの存在感に負けないボリュームのあるレザーストラップの多彩なカラーバリエーションも、それまでのパイロット・クロノグラフにはない果敢な挑戦だった。

1984年にデビューした市販用のクロノマット。写真は、現在でも“ビコロ”(=バイカラー)と呼ばれる、ステンレススティールのケースに18Kイエローゴールドのライダー・タブ、リュウズ、プッシュボタンをあしらったラグジュアリー仕様だ。
ケースバックにはフレッチェ・トリコローリの使用機「アエルマッキ MB-339」の姿が、インナーベゼルには時速1000㎞を計ることができることを表す「1000」の数字が、それぞれ刻まれていた。

1984年の誕生以来、クロノマットはいくつかのマイナーチェンジと1994年、2004年の大きなリニューアルを重ねながら進化を続けていく。が、クロノマット誕生の精神とデザインの本質は一切ぶれることがなく、高級機械式クロノグラフの代名詞へと駆け上がっていった。そして2009年にはブライトリング初の完全自社開発・製造ムーブメントを搭載した『クロノマット B01』が登場し、現在に至っている。

2000年のミレニアムイヤーに登場したクロノマット。高コストから、当時は実現不可能とまで言われた100%クロノメーター(COSC)認定を実現。ダイアルには誇らしげに「CHRONOMETRE」の文字がプリントされた。

2004年、2度目の大リニューアルを経て、直径43mmに大型化したクロノマット。防水性能も300mになり進化を遂げたことを表す「クロノマット・エボリューション」の名が付けられた。

2009年、初の完全自社設計・製造の自動巻きクロノグラフ・ムーブメント「キャリバー B01」が誕生。フラッグシップ・モデル、クロノマットに搭載された。

とくに日本では、クロマットに秘められたストーリー性や比類なき存在感を放つデザイン性の高さに共感する愛好家が多く、毎年のように製作される日本のためだけのリミテッド・エディション“JSP”(JAPAN SPECIAL(=日本特別仕様)には熱い視線が注がれている。ここで紹介しているクロノマットも2019年に発表されたJSPコレクションであり、サファイアクリスタルバックから自社製キャリバー「ブライトリング01」の精緻なメカニズムが堪能できる特別仕様となっている。これらのタイムピースには、ブライトリングの命運を賭けたクロノマット誕生のストーリーとブランド哲学が脈々と、確実に受け継がれているのだ。

ブライトリングの完全自社開発・製造のムーブメント「キャリバー B01(現在はキャリバー 01)」。クロノグラフの高級機の証である、計時時の操作性に寄与するコラムホイール、垂直クラッチを採用するクロノグラフ・ムーブメントだ。
日本からの要望でつくられた限定発売モデルが「JSP(=ジャパンスペシャル)」。そのファースト・モデル(写真)は、2017年にリリースされた。

次回は、スイスでも屈指の高性能クロノグラフ・ムーブメントを自社製造するマニュファクチュールへと発展したブライトリングの技術力とクロノマットとの関係に迫っていく。

いますぐ手に入る「クロノマット JSP」はこの2本!

クロノマット JSP/1984年に創案された、クロノマットの代名詞ともいうべきサテン仕上げのライダー・タブ付きベゼルを採用。両サイドにスーパールミノヴァを塗布した独自のインデックスにより、昼夜を問わず最高の視認性を実現している。ダイアルは、写真のブラックの他、ブルー、シルバー、ブルーブラックの4色展開。自社開発・製造の自動巻き「キャリバー01」搭載。ステンレススティール、ケース直径44㎜、500m防水。税別86万円。抜群の仕上げを誇る44㎜ケースは500m防水を備え、内部にはもちろん自社製キャリバー01を搭載する。
 
クロノマット JSP ブラックアイブルー/JSPモデル専用の独自のインデックスを採用した深い海を思わせるインクブルーのダイアルに、抜群の視認性を誇るマットブラックのインダイアルをセット。表示されるスモールセコンド、30 分と12 時間の積算計は、ダイアルとのコントラストの恩恵で非常に読み取りやすいのが特長だ。500m防水を誇る高品質なケースに搭載されるのは両方向巻き上げ式の自社開発・製造の自動巻きキャリバー01。70時間以上のパワーリザーブを誇る。COSC 認定クロノメーター。ステンレススティール、ケース直径44mm。税別86万円。

 

今年発表された「クロノマット JSP」はこの3本! 

クロノマット JSP ローマン インデックス リミテッド[中央] 

1984年の初代クロノマットに搭載され、2004年に登場した“エボリューション”まで続いたライダータブ付きのサテン仕上げベゼルを採用。1996年に発表された「クロスウィンド」譲りのスポーティなローマン・インデックスは、畜光塗料により昼夜を問わず最高の視認性を実現している。自社製キャリバー01の美しいムーブメントを、シースルーバックから見ることができるのもクロノマット JSPでは初めてだ。自動巻き。ステンレススティール、ケース直径44㎜、200m防水。税別90万円。

クロノマットJSP ブラック マザー オブ パール リミテッド[左] 

クロノマットのリミテッド・エディションのなかでも常に高い人気を誇るMOP(真珠母貝/マザー オブ パール)ダイアル。2019年は、中でも人気が高いブラックMOPダイアルにスポーティなバーインデックスを組み合わせ、インダイアルをシックなブラックで仕上げたモデルが登場した。サファイアクリスタル製のケースバックからは、自社製キャリバー 01の美しい仕上げと動きを堪能できる。自動巻き。ステンレススティール、ケース直径44㎜、200m防水。日本限定300本。税別108万円。

クロノマットJSP マザー オブ パール リミテッド[右]

マザー オブ パールの本来の美しさを堪能できるナチュラルMOPダイアルに、白と相性抜群のブルーMOP仕様のインダイアルをセット。クロノマットの持つスポーティかつマスキュランな印象に、爽やかでエレガントな雰囲気を加えた、300本のみの日本限定モデルだ。サテン仕上げのライダータブ付きベゼルを採用することで、“プロフェッショナルのための計器”というクロノマットの本質がしっかりと貫かれているのは見事。このモデルもサファイアクリスタル製のケースバックからは自社開発・製造のキャリバー01の動きを楽しむことができる。自動巻き。ステンレススティール、ケース直径44mm、200m防水。税別108万円。

◇時計のお問い合わせ=ブライトリング・ジャパン Tel.03-3436-0011
   https://www.breitling.co.jp

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