BMW車をベースに独自のチューニングを施し、エンスーたちの心を躍らせてきたアルピナ。アルピナD5SはBMW5シリーズが日本に正規導入していないパワー・ユニットである3リッター直6のディーゼル・ターボ・エンジンを搭載したモデル。アルピナ・ブルーの神秘的なカラーとストライプを纏った外観は引き締まった肉体のアスリートがスーツを着こなす姿を思わせるもので、強さの中に品格を漂わせる。
一方で、インテリアは天然のウォールナット材、体をしっかりと支え着座感が心地いいラヴァリナ・レザーのシートを採用するなど、アルピナらしい仕立ての良さを感じさせるあたりもポイントだ。0-100㎞/h加速は4.9秒。ディーゼル車としては驚きの瞬発力もさることながら、20インチの鍛造ホイールはバネ下重量を25%軽量化。専用開発したタイヤとあいまって、5シリーズの大きさを感じさせないほどにフットワークが軽い。ドライバーが頭に思い描いたラインにヒラリと持ち込める感覚は、身体の動きで感情を表現するダンスを踊る時の気分と重なった。
何でしょう!?この滑らかさ。BMW5シリーズがベースなのに、乗るとひとクラス上の上質さ、ラグジュアリー感満点。エンジンは3ℓ6気筒ディーゼル+ツイン・ターボで、外で聞くエンジン音からディーゼルとは感じにくい静かなユニット。ところがアクセレレーターをひと踏みし、326ps/71.4kgmが炸裂すると、ラグジュアリー路線はそのままに0-100㎞/h加速4.9秒。最高速度275㎞/hに到達する勢いの良さの一面が垣間見える。けっしてドーンとは動かない、静かで滑らかにいつの間にか速度は高くなっている、というタイプ。
基本はBMWだが、過激なスポーツ路線はM社に任せ、アルピナはラグジュアリー路線、という図式に、久しぶりに乗ったアルピナでも変化がないことを再認識した。BMWのハンドリングはそのままに、メルセデス・ベンツSクラス級のゴージャスでラグジュアリーな乗り味と、快速性能を求めるBMWファンにお薦めしたい。
〔読者コメント〕
●ディーゼルとは思えない静かなエンジン音が印象的です。(山野 平さん)
●3台もBMWを乗り継いだが、上質感が違う。ディーゼルとは思えないスポーティさもGood!(西村明高さん)
●最新のディーゼルは初めてなので、その振動のなさとスムーズな吹け上がりに驚きました。(大屋建さん)
●ディーゼル・エンジンとの事であったが、言われないとガソリン車と区別がつかない。(T.J.さん)
●全然ディーゼル車の感覚がなく、スムーズなエンジン。4WDのコーナーでのクイック感など、まさに素敵な1台。(湯浅公正さん)
●内装を見ているとBMWとほぼ同じでありながら、走行時の乗り味は上質でした。(中向恵一さん)
●ディーゼルといわれなければ気付かない完成度が素晴らしい。目からウロコ。ロールも少ないコーナリングが良い。(一木太郎さん)
●よくぞここまでディーゼル音を抑えたものです。足まわりもスマートで、タキシードを着て楽しめるスポーティ・サルーン!(池田達哉さん)
BMW5シリーズ・ベースのアルピナ。車名の"D"の文字から類推されるとおり、ディーゼル・モデルで、本家BMWの日本仕様にはない3.0リッター直6ツイン・ターボ・ディーゼルが搭載されている。出力は326ps/71.4kgm。もちろんアルピナ・チューンが施されているのは言うまでもない。日本仕様は8段AT+4WDのみ。5シリーズのアルピナにはD5Sのほかにガソリン仕様のB5ビターボも用意される。ブルーのメーター・パネルをはじめ、中身もアルピナ仕立て。全長×全幅×全高=4960×1870×1485㎜。ホイールベース=2975㎜。車両重量=1940㎏。価格は1299万円。
写真=神村 聖(メイン)/鈴木 勝(サブ)
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