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PLAYING 2019.3.20 

フェラーリ、ランボルギーニetc… スーパーカー6台と暮らす世田谷の家

愛するスーパーカーと素敵に暮らす“スーパー”な家を紹介する。ヨーロッパの街のような石畳が印象的な世田谷区のモダン住宅は、所有の愛車6台を格納できるガレージつきだ。スーパーカーのある日常をご覧いただこう。

まるでクルマのショールーム

クルマのショールームと見まがうばかりの、スーパーなクルマが並ぶこのモダンなスペースは、東京の世田谷区にあるHさん(46歳・専門職)宅の中庭だ。昨年の3月に完成した、延べ床面積450平方メートルを超えるこのお宅で、Hさんは奥様と2人のお子さんと暮らしている。

40年ほど前、ブームとなったスーパーカーに憧れた世代のHさん。仕事が成功したのを機に、数年前からスーパーカーを集め始めるようになった。中庭に並んでいるのは、フェラーリ488スパイダー(2018年型)、ランボルギーニ・アヴェンタドールSV(2016年型)、マクラーレンP1(2015年型)、ロールス・ロイス・ドーン(2016年型)。

Hさんはテスラ・モデルS(2015年製)を、奥様はレクサスHS450hなどを普段の脚に。
家の中央に中庭を配し、その両側に3台ずつ停められるレイアウト。2階のギャラリーからは、車庫内のクルマが見える。

H邸の最大の特徴は、こうしたクルマを納めるため、家の中心にある中庭を挟んで、3台ずつ合計6台分の車庫を配したレイアウトになっていること。しかも、ガラスの引き戸を閉じても、車庫内のクルマをガラス越しに眺められる仕組みになっている。頻繁に使うクルマが納まる右手のガレージには、重い引き戸が電動で開閉するシステムを採用。左側のガレージは、全長が6mを超えるロールス・ロイス・ファントムEWBが納まるようにと、奥行きが深い。そして色鮮やかなスーパーカーが映えるよう、ガレージの中までヨーロッパの街並みのような石畳が敷かれている。

ボディ・カラーで珍しいのが、マクラーレンP1のメタリックな緑色。この色を選んだのには、訳がある。P1は、全世界で375台しか生産されていない、スーパーカーの中にあっても特別なモデルだ。しかもこのクルマを手に入れるには、しかるべき金額を支払えば良い訳ではない。本国のメーカーからオーナーとして相応しい人物と認められたうえに、本社工場の見学などが条件となっている。Hさんも、奥様と当時3歳の長男と2歳の長女を伴って工場を訪れた。その時、ロンドンの空港まで出迎えがあったうえ、宿はハイドパークを望む高級ホテルの用意が。他にも観光旅行では知りえない様々な英国文化を体験し、すっかり感心したHさん。 「ホテルから見たハイドパークの木々が印象的だったから」と、緑色を選んだのである。この体験は、Hさんだけでなく奥様にとっても忘れられないものになった。そして「主人のスーパーカーの趣味を応援したい」と、一緒にイベントに出かけることも。

もちろん8歳になった息子さんも大のクルマ好きだ。子供らしく自分の部屋にミニカーが溢れているだけではない。イベント会場でクリスチャン・ケーニグセグのような、超のつく高級スーパーカー・メーカーの創設者との記念写真を喜ぶ「おませな」クルマ通である。そんな長男に奥様は、「成人したら、お父さんみたいにスーパーカーが簡単に手に入ると思わないように」と、教育することも忘れていない。ともあれ、Hさんたちは、家族でスーパーカーのある生活を楽しんでいるのである。

クルマも家も上品に

いくつかイベントに参加した奥様が、ご主人が選んでいるのは、押し出しの強いモデルではなく、「品のよい」クルマでは、と感じているのも興味深い。そうしたセンスが、家作りにも表れているからだ。建築家の石井秀樹さんに設計を依頼したのも、その落ち着いた上品なスタイルに惹かれて。ネットで検索して辿り着いた石井建築に、「一目で魅了された」という。そうした石井さんの特徴は、H邸でも随所に見てとれる。例えば、仕上げがそうだ。H邸は相当に大きなサイズであるが、この規模の住宅をコンクリート打ちっぱなしで造ると、「公共施設のような雰囲気になりかねない」。そこで外壁に貼ったタイルの表面をグラインダーで削って風合いを出している。この仕上げはリビングダイニングなどの屋内にも使われており、H邸の雰囲気は温かみのある落ち着いたものとなった。

壁面は表情のある仕上げ。道路に面した庭などは、著名な庭師の手によるもの。
日の射す明るい部分と陰になる部分が、ほどよくミックスされた内部空間。リビングダイニングは大空間でありながら、居心地の良い空間に。ソファはB&B Italiaのもの。
ダイニングルームの脇には、薪ストーブが。その上の壁面は、コンクリートの打ちっ放しを丁寧に仕上げたもの。ダイニングとそれに続くギャラリーの天井高を変えることで、安心感と心地よい緊張感が生まれている。
バスタブの周りの仕上げは、滑りにくくしっとりとした肌触りの十和田石。階段室の陰影が印象的。
温水プールは、長さ20メートル、幅2メートル、深さ1.2メートルの本格的なサイズ。山火事にあって立ち枯れた木を中庭に使い、非日常感を演出。Hさん夫婦は、このプールに浸かって、中庭越しにスーパーカーが見えるアングルを気に入っている。

そんなHさんは、建築家を絞り込む際、他の建築家や設計会社にもプランの作成を依頼している。結果、石井さんの提案が最も独創であるうえ、Hさんの希望や使い勝手を深く考慮したものだったという。敷地は緩やかに傾斜し、道路と接する南側は東西で1mの高低差がある。中庭を設け、そこに通じる入り口の幅を広くし、スロープを長くとった石井さんのプランは、車高の低いスーパーカーが斜めに侵入するので、底を摺らずに簡単に駐車できるもの。中庭を囲んだ車庫のレイアウトゆえ、他のクルマに邪魔されることなく簡単に乗り出せるのもポイントだ。

生活空間のすぐ横に愛車が見えるのではなく、少し離れた位置から愛車が見えるようにしたいというのもHさんの要望だった。石井さんは、2階のダイニングとそれぞれの個室を結ぶ中庭に面したスペースを広げてギャラリーとし、そこからクルマが見える設計にした。「この家が完成する前は、間近にクルマが眺められる1階の書斎にこもる機会が多くなると想像していました。ところがギャラリーの居心地が良いので、そこの安楽椅子で新聞や本を読むことが多い」とHさんは語る。

スーパーカーと暮らす

奥様も、様々な場面で「美」を感じさせる石井さんの設計を気に入っている。こうした素敵な家に暮らすHさんだが、少し前までは一生賃貸に住んでいても良いと思っていたそうだ。ところが、知り合いのCさんからクルマを譲り受ける際、C邸に接して建築家の設計した家でスーパーカーと暮らすライフスタイルがあることを知った。そうした体験があったから、この家が生まれたのである。ここで紹介したHさんの住まい方も、スーパーカー好きの読者の参考になることだろう。

1階の書斎からは、ガレージ内のクルマが間近に。ここは趣味の部屋で、壁にはミニカーなどが陳列されている。籠れるようにと、天井は低い。

構造:鉄筋コンクリート造 規模:地上2階 敷地面積:618.21平方メートル 建築面積:277.35平方メートル 延べ床面積:459.39平方メートル 竣工:2018年 所在地:東京都世田谷区
設計:石井秀樹建築設計事務所  isi-arch.com

■建築家:石井秀樹 1971年千葉県生まれ。東京理科大大学院修了。卒業後に独立。主に住宅を手掛ける。繊細なディテールを積み重ねて作り上げる独自の世界観には定評がある。先ごろ住宅設計のアイディアをまとめた「住まいのデザインノート」を上梓。写真の住宅で、小誌の連載に登場したことも。愛車はプジョー306カブリオレ。

文=ジョー スズキ  写真=山下亮

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