【10月1日 AFP】チェスの元世界王者で、ロシアのウラジーミル・プーチン政権を批判するガルリ・カスパロフ(63)氏は1日、米国とリトアニアの治安機関から自身と盟友の命が危険にさらされていると告げられ、安全対策を講じるよう促されたと明らかにした。

カスパロフ氏はSNSで、「私と長年の協力者で『自由ロシアフォーラム』共同創設者のイワン・チュートリンが暗殺対象リストに載っているというニュースは、不意打ちではなかったもののショックだ」と投稿した。

さらに「リトアニアと米国の治安機関から、私たちの命が危険にさらされており、予防措置を講じるべきだと通知された。私はその通りにし、今後も対策を継続する」と述べた。

カスパロフ氏は、米司法省が9月中旬に米国を含む世界各地で襲撃や暗殺を企てたとしてロシア情報機関の工作員とされる5人を訴追したと発表したことを受け、声明を出した。

同省によると、工作員グループは今夏、米国に住む「著名なロシアの反政権派人物」の暗殺を試みたという。米当局はこの人物の氏名を明かさず、「被害者1」とだけ表記していた。

スペイン紙エル・ムンドは9月30日、カスパロフ氏に近い情報筋の話として、ロシアの工作員が同氏および元ロシア下院議員で反政権派のイリヤ・ポノマリョフ氏の暗殺を企てていたと報じた。

カスパロフ氏は「暗殺計画で起訴された被告に対する起訴状で名前が伏せられている人物が私たちであると、イワンも私も明示的には告げられていない」と説明した。

また米司法省は、ロシアの工作員がリトアニアで「被害者2」とされる標的の暗殺も試みていたと明かした。

現在リトアニアに亡命しているチュートリン氏は、AFPの取材に対し、自身が「被害者2」であるかはわからないと語った。

2016年、カスパロフ氏とチュートリン氏はウクライナ軍への支援を訴え反戦会議を主催する「自由ロシアフォーラム」を設立。ロシア政府は2023年に同フォーラムを「不適格組織」に指定し、2025年には「テロ組織」のリストに加えている。

米当局が明らかにした計画は、反政権派を標的にする動きの激化と、西側諸国におけるロシアの工作活動の拡大を示すものとみられる。ロシア治安機関は欧州全域で反政権派を繰り返し標的にしてきたが、米国本土での工作は数十年にわたりそういった活動の対象外となっていた。(c)AFP