【6月1日 AFP】地下の岩石層に高圧で流体を注入して亀裂を生じさせ、石油やガスを採掘する水圧破砕法(フラッキング)に関し、水ではなく二酸化炭素(CO2)を注入することで、石油生産量が4〜20倍に増えたとする研究成果が発表された。研究は中国の科学者らによるもので、米学術誌「ジュール(Joule)」に5月30日付で論文が掲載された。

 現在最も一般的なフラッキングの手法では、化学物質を混ぜた大量の水が使われる。しかし、その水が帯水層(水を含む透水性の地層)での汚染や、小規模な地震を引き起こしている疑いがあるため、この手法は批判を受けている。

 フラッキングが環境に与える影響を低減するため、水ではなくCO2を使う方法が以前から研究されてきた。

 中国科学院(Chinese Academy of Sciences)、中国石油大学(北京)(China University of Petroleum, Beijing)の科学者らは、研究室のほか、中国東北部吉林(Jilin)省の油井5か所で実験を実施。水と化学物質の混合液を使った手法とCO2を使った手法を比較し、「うれしいことに、CO2による破砕が完了した後、石油生産量は(約)4〜20倍に増えた」とした。

 CO2は人類の活動から排出される主要な温室効果ガスで、地球温暖化の原因とされる。科学者らは、フラッキングに使ったCO2を地中に閉じ込め、大気中から取り除くことができるとの見方も示しているが、CO2を注入して取り出した化石燃料を燃やすことは炭素排出量の増加につながるため、逆効果とみることもできる。

 英エディンバラ大学(University of Edinburgh)の上級講師、ハンナ・チャーマーズ(Hannah Chalmers)氏は「CO2フラッキングによる最終的な環境上の利益が水によるフラッキングを上回る可能性はある」とする一方、「CO2フラッキングが総体として世界の温室効果ガスの排出削減につながるかを確定するのに必要な分析は、今回の研究に含まれていない」と述べている。(c)AFP