【5月23日 AFP】国際条約で禁止されているオゾン層破壊ガスが、中国北東部の工業地帯から大気中に大量に放出されているとする研究報告が22日、英科学誌ネイチャー(Nature)に発表された。

 科学者らが発表した同報告によると、禁止されているフロン類の一種トリクロロフルオロメタン(CFC-11)について、中国北東部からの年間放出量が2013年以降、約7000トン増えたという。

 英ロンドンの非政府組織(NGO)「環境捜査局(EIA)」は昨年の報告書で、中国沿岸部に位置する山東(Shandong)省と首都北京を囲む内陸の河北(Hebei)省にある発泡剤の製造工場が放出源であると指摘していた。後に中国当局がこれらの工場の一部を説明なしに閉鎖したため、疑惑が一層強まっていた。

 大気科学者の国際研究チームはさらに調査を進めるため日本と台湾にある大気観測施設の追加データを収集。研究報告の主執筆者の一人である韓国の慶北大学校(Kyungpook National University)のパク・ソニョン(Sunyoung Park)氏によると、中国の「工業地帯から空気が到達すると、われわれの大気汚染の測定値は『急上昇』した」という。(c)AFP/Marlowe HOOD