【5月14日 AFP】月は徐々に縮んでおり、その結果、月面に「しわ」ができたり、「月震」が起きたりしている──米航空宇宙局(NASA)の無人月探査機「ルナー・リコナイサンス・オービター(LRO)」が撮影した画像1万2000点以上を解析した調査結果が13日、発表された。

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 調査で判明したことによると、北極近くに位置するクレーター「氷の海(マレ・フリゴリス、Mare Frigoris)」は移動しており、亀裂が発生しているという。氷の海は多くの広大なクレーターの一つで、地質学的な観点から活動がないと長らく考えられてきた。

 地球とは異なり、月にはプレート運動がない。代わりに45億年前に誕生してから徐々に冷却していることで起きる地殻活動が存在する。これにより、まるでブドウがしなびてレーズンになるように月面に「しわ」が生じている。

 月の地殻はもろいため、内側で収縮が起こるとその力で表面が崩れる。すると、地層の一部が隣接する地層の上へと押し上げられる衝上断層という現象が起きる。その結果、過去数億年の間に月は50メートルほど「痩せた」のだという。

 1960年代から70年代にかけて月の地震活動について観測を始めたアポロ(Apollo)計画の宇宙飛行士たちは、月震の大部分が内側の深部で発生しており、月面近くで起こることは少ないことを突き止めた。

 英科学誌ネイチャー・ジオサイエンス(Nature Geoscience)に掲載された今回の調査結果では、アポロ計画で観測された震源の深さが浅い月震を調べ、それらとごく最近形成された月表面の地形との関係を解き明かした。

 論文の共著者で米メリーランド大学(University of Maryland)地質学助教のニコラス・シュメル(Nicholas Schmerr)氏は、「断層が今も活動している可能性はかなり高い」と指摘し、「地球以外の地殻活動を目の当たりにできることはめったにないので、今も月の断層が月震を起こしているのかもしれないと考えることは非常に刺激的だ」と語った。(c)AFP