■インドネシア

 スマトラ(Smatra)島の最北端に位置するアチェ(Aceh)州は、世界最大のイスラム人口を持つインドネシアで、唯一シャリアを施行している。アチェ州は2001年に一定の自治権が認められて以来、シャリアを適用している。

 公開むち打ち刑は、ギャンブルや飲酒、不倫、同性間の性交渉など幅広い罪に対して一般的に執行されている。

 だが、政府は昨年、殺人罪に斬首刑を科すというアチェ州の計画について、インドネシアの既存の法律で禁じられていると警告した。

■スーダン

 スーダンは1983年にシャリアを導入したが、その施行は不規則だと活動家らは指摘している。

 投石による死刑も定められているが、ここ数十年は執行されたことがない。一方、活動家らは、毎年、何百人もの女性たちが「不道徳な行為」によってむち打ち刑に処せられていると指摘している。

■パキスタン

 軍事独裁政権を敷いていたジアウル・ハク(Zia-ul-Haq)大統領は1979年、国の完全なイスラム化を目指してフドゥード法を導入し、各方面から批判を浴びた。

 シャリア法廷は、同国で主流となっている英国の影響を受けたパキスタン刑法も参照し、不倫や冤罪(えんざい)、窃盗、薬物やアルコール摂取などを扱っていた。

 2006年、レイプや不倫はシャリア法廷ではなく通常の法廷で裁くことを定めた女性保護法が圧倒的多数で可決された。現在、シャリア法廷で出された判決に対して通常の法廷に上訴することも可能となっている。

■ナイジェリア

 ナイジェリアでは36州のうち約12州で、刑事裁判にシャリアが導入されている。その他の州では、英慣習法と伝統的な法律が混ざり合った司法制度となっている。

■カタール

 カタールでは、イスラム教徒のアルコール摂取や違法な性行為に対する刑罰として、現在もむち打ち刑が行われている。不倫に対してはむち打ち100回が科される。また、ムスリム女性と非ムスリム男性の不倫は、死刑が科されることもある。

■イスラム国

 イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」は国ではないが、「カリフ制国家」樹立を自称し、シリアやイラクの支配地域において独自の法廷を開き、厳格に解釈したシャリアに基づいた裁判を行った。

 斬首や石打ち、手足の切断などの残虐な刑罰を執行し、同性愛とされた男性たちを建物から突き落とすこともあった。(c)AFP