【5月5日 AFP】ブルネイで4月、シャリア(イスラム法)に基づく厳格な新刑法が導入された。不倫や同性間の性交渉に対して石打ちによる死刑を科すことなどが盛り込まれ、世界中の人権団体から批判の声が上がっている。

 イスラム国家の大半は、自国の司法制度にシャリアの要素を取り入れているが、「ハッド刑」と呼ばれる厳格な刑罰を科している国はほとんどない。

 シャリアとは何か、また、世界のイスラム国家でどのように解釈されているかをまとめた。

■シャリアとは

 シャリアは、イスラム教の聖典コーラン(Koran)と預言者ムハンマド(Prophet Mohammed)の言行録「ハディース」を基に作られたイスラム教の法律。シャリアをどのように現代社会に適用するかについては、世界中の保守派ムスリム(イスラム教徒)と進歩派ムスリムの間で論争の的となっている。

 だが、金融関連などその適用が広く受け入れられている分野もある。欧米企業でさえ、ムスリムの顧客向けにイスラム金融商品を提供している。

 ハッド刑は、不倫やレイプ、同性愛、窃盗、殺人などが対象となっている。だが、自白に基づく証拠あるいはムスリム成人男性数人の証言が求められることも多く、極刑が科されることはまれだ。

 厳格に解釈したシャリアを導入している国を以下にまとめた。

■サウジアラビア

 シャリアはサウジアラビアのすべての法律の基礎を成しており、ごく最近まで一般的に厳格なハッド刑が公の場で施行されていた。

 同性愛的行為は、違法というだけでなく死刑が科されることもあるが、通常はむち打ち刑や禁錮刑にとどまる。

 子どもに対するレイプなど特に悪質な犯罪の場合には、死刑後はりつけにされることもある。

 他人を負傷させた場合には「キサース」と呼ばれる刑罰によって、「目には目を」という報復主義に基づき加害者に同様の苦痛を与えることが許されている。また、殺人被害者遺族が犯人を許すこともできるが、賠償金の支払いによることが多い。

■アフガニスタン

 アフガニスタン憲法はシャリアに基づいているが、その解釈は地元の慣習と部族の伝統に影響を受けた複雑な歴史の上に成り立っている。

 旧支配勢力タリバン(Taliban)は政権の座にあった1996~2001年、残忍な解釈をしたシャリアを導入した。例えば、女性たちは家に閉じ込められ、男性に付き添われ全身をブルカ(イスラム教徒の女性が着用する衣服)で覆っている時のみ外出が許可された。

 ハッド刑も全国的に広く行われていた。

 タリバンの支配地域は現在、2001年来の広範囲に及んでいる。タリバンは最近、復権したら厳格なシャリアの適用を一部緩めると示唆していたが、今でも支配地域では厳格に解釈したシャリアを強制している。