【4月16日 AFP】プラスチックによる汚染とは無縁と考えられている辺境の山岳地帯が、実際には大気中に浮遊するマイクロプラスチック(プラスチック微粒子)で覆われていると指摘する研究論文が15日、発表された。大気中濃度は仏パリなどの大都市に匹敵するほどだとして、研究チームは懸念を示している。

 英科学誌ネイチャー・ジオサイエンス(Nature Geoscience)に掲載された論文によると、2017年から2018年にかけての5か月間にわたる調査期間中、フランスとスペインにまたがるピレネー山脈(Pyrenees)の無人の高高度地域では毎日、1平方メートル当たり平均365個のプラスチック微粒子が地上に降下したという。

 論文の筆頭執筆者で、英ストラスクライド大学(University of Strathclyde)の博士課程学生のスティーブ・アレン(Steve Allen)氏は、「ピレネー山脈で実地調査を行った範囲でこれほど多くの微粒子が見つかったのは驚くべきと同時に、懸念すべきことだ」と話す。

 今回の研究では、大半が直径10~150マイクロメートル(1マイクロメートルは1000分の1ミリ)のプラスチックの断片、繊維、シート状の薄い膜などを含むマイクロプラスチックに着目した。比較のために挙げると、人毛の直径は平均約70マイクロメートルだ。

 プラスチックごみはこの数年間で、重大な環境問題として浮上してきた。毎年最大で1200万トンに上るプラスチックが世界の海洋に流入し、さらに数百万トンが内陸の水路や埋立地に集積していると考えられている。プラスチックは砕けて細かくなるのに数十年かかる上、その後も環境中に残存し続ける。

 プラスチックが野生生物へ及ぼす害や人の健康への潜在的影響などを評価するための科学的研究はまだ始まったばかりだ。今年発表された研究では、水深1万メートル以上の深海に生息する生物の消化管内からプラスチック片が発見された。また、マイクロプラスチックは世界各地の水道水から検出されている他、南極大陸の最果てでも見つかっている。