■報復の連鎖

 ビョークジェームズ氏は、ネットの中でも特に「GAB」や「ストームフロント(Stormfront)」のようなサイトは、バラバラの主張を持つ白人至上主義者が世界的なコミュニティーを形成するのに一役買っていると指摘する。「ストームフロントは、白人至上主義者の世界的情報交換の場になっている」

 さらにビョークジェームズ氏は、白人至上主義の動き全体が、「指導者を持たない抵抗運動」として機能するよう意図されており、個々人が互いを触発して、行動に駆り立てようとしていると説明する。

「ローンウルフ型の攻撃は実際、グローバル戦略の一部となっている」と、ビョークジェームズ氏は言う。

 クライストチャーチの事件の容疑者は、大量殺人を企てた他の白人至上主義者に触発されたとも書いており、例として2011年にノルウェーで多文化主義への憎悪から77人を殺害したアンネシュ・ベーリング・ブレイビク(Anders Behring Breivik)受刑者らを挙げている。

 だが、ルブール氏は、最近の襲撃事件は報復の連鎖なのではないかと指摘する。このような傾向は、特に2015年に「ジハーディスト(聖戦主義者)」が引き起こした仏パリ連続襲撃事件以来、顕著となっていると言う。

 今回の事件の容疑者もマニフェストで、これまでに起きた出来事や、イスラム過激派による最近の事件への報復だと主張していた。

 2015年のパリの事件は「すべての白人至上主義者にとっての転機となった」と、ルブール氏は言う。「今や、誰もが頭の中で報復を考えている」 (c)AFP/Paul HANDLEY