【1月25日 AFP】これまでに製造されたすべての民間航空機を上回る重量と、大部分の国の国内総生産(GDP)を上回る価値があるとされる電子廃棄物が、環境的にも経済的にもこれまで以上に脅威となっていると、専門家らは警鐘を鳴らす。この現状を受け、24日、電子廃棄物の適切な処理を目指すイニシアチブが立ち上げられた。

 消費者や企業が次々に処分する古くなったスマートフォン、コンピューター、家電製品など、世界では毎年5000万トン近くの電子廃棄物が発生しており、その価値は推定625億ドル(約6兆8560億円)に上る。

 電子廃棄物には、電子機器に不可欠な金属やレアアース(希土類)などの貴重で再利用可能な物質が含まれているが、実際にリサイクルに回される電子廃棄物は全体のごく一部にとどまる。

 開催中の世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダボス会議)で、国連(UN)、WEF、持続可能な開発のための世界経済人会議(WBCSD)は共同で、世界で初めて、急速に増加する電子廃棄物に対して世界的な行動を起こすよう呼び掛けた。

 電子廃棄物の専門家で、国連大学(United Nations University)で今回の呼び掛けの統括を務めるルーディガー・キュール(Ruediger Kuehr)氏はAFPの取材に対し、「状況がこのまま変わらなければ2050年までに電子廃棄物の年間発生量が1億2000万トンに達するため、このような呼び掛けが求められる」と語った。

「これは現在から近い将来の話だ。電子廃棄物は将来的に人類の資源利用性に影響を与えるとともに、特に発展途上国を中心とした非常に多くの人の生活に影響を及ぼしている」

 現在、電子機器のリサイクル率は20%にすぎず、数百万トンが埋め立て地行きになったり、誤って金属廃棄物と混合されたり、貧困国に不正に有償で輸出されたりしている。

 2016年だけで43万5000トンの電話が、数十億ドル(数千億円)もの価値のある物質が含まれているにもかかわらず、廃棄された。