■環境の時限爆弾

 研究チームは今回、今後100年以内に完全に補充される地下水、すなわち流入出のバランスを取り戻すのは供給量全体の半分にとどまるという結果にたどり着いた。乾燥地域では、水不足につながることも考えらえるという。

「これは環境の時限爆弾と呼べるかもしれない。なぜなら、涵養作用に現在及んでいる気候変動の影響については、河川や湿地帯の地下水基底流にその影響が完全に現れるのは随分と後のことだからだ」と、カスバート氏は説明する。

 雨水が岩盤でろ過され、地下に蓄積されるまでのプロセスは数百年かかることもあると考えられ、そこには大きな地域差もある。すると、気候変動による干ばつの長期化や嵐の大型化に伴って降雨の極端な現象がさらに顕著となり、未来の世代のための地下水埋蔵量にも影響が及ぶ恐れがある。

 研究チームはまた、乾燥地域の埋蔵量は湿潤地域の埋蔵量に比べて、気候の変化に反応するのにはるかに長い時間(場合によっては数千年)を要することも確認した。

 今回の研究についてチームは、気候変動の「見えない」影響の一つを浮き彫りにしたとして、未来の世代を見捨てないために直ちに行動を起こすよう訴えている。

 カスバート氏は、「世界には今より湿潤になる地域や乾燥する地域があるかもしれないが、総降雨量だけでなく、降雨の強度も重要になる」としながら、「気象科学によれば、降雨強度の変化が地下水にとって非常に重要となる」ことを指摘した。(c)AFP/Patrick GALEY