■感染症の進展

 マラリアは「マラリア原虫(プラスモジウム、Plasmodium)」と呼ばれる寄生性の単細胞生物が原因で発症する。 雌の蚊が吸血するために人を刺すと、マラリア原虫が人に感染する。雄は刺さない。

 人に感染したマラリア原虫は肝臓内にとどまって増殖する。2~3週間後にはマラリア原虫の数が爆発的に増加し、血液中でさらに増殖する。

 この段階では発熱、頭痛、筋肉痛などが始まり、その後に冷や汗や震えなどの症状が出る。特にアフリカで多くみられる熱帯熱マラリア原虫の場合、治療しなければ貧血や呼吸困難が起こり、死に至る可能性もある。

 今回の研究は「効果が数か月持続するならば、前途有望な道」を提供すると、仏エクス・マルセイユ大学(Aix-Marseille University)のジャン・ゴダール(Jean Gaudart)教授(公衆衛生学)は指摘する。これについて同教授は、中国の植物に由来するアルテミシニン(Artemisinin)を用いた現在最も有効なマラリア治療法に対する耐性がアジアで増加傾向にあるため、新たな治療法の開発が不可欠となっていることを説明した。

 研究チームの今後の課題は、今回特定された631個の分子のどれが、この世界的なマラリア禍の終息を実現する可能性があるかについて確認することだ。

 世界保健機関(WHO)は先月、致死性感染症マラリアの2017年の感染患者数が前年の2016年から200万人増の2億1900万人に上ったと発表し、この健康問題と闘う世界的な取り組みが足踏み状態に陥っていることを明らかにした。

 2017年のマラリアによる死者は約43万5000人で、死者の大半はアフリカの5歳未満の子どもだった。

 これまで、数十億ドルの資金が投じられてきたにもかかわらず、世界はいまだにマラリアに対して、真に効果的な解決策を見つけるには至っていない。(c)AFP/Ivan COURONNE with Nathalie OLOF-ORS in Basel