■野生動物が絡む自動車事故、3年で20%増

 ニューサウスウェールズ州の北西部では、カンガルーの個体数が激減しており、その減少率は90%を超えるとキングスフォード氏は話す。

 同州ブーリガル(Booligal)地区の今年の降雨量は、年間平均を約75%下回っている。ここで農業を営む人々は、緑を求めて道路に近付くカンガルーやエミューの数が増えていると口をそろえる。まれに雨が降ると、道路わきに水が流れ、そこに植物が茂るためだ。

 保険業界のデータでは、この干ばつの影響で、野生動物が絡む自動車事故の発生件数が過去3年で約20%増えたことが示されている。この状況に地域のある農業従事者は、「干ばつの際の安全運転」を教える活動を始めた。

 気候変動が干ばつを悪化させ、強力な熱波が発生する頻度が増えていると科学者らが警告する中、オーストラリアの人々は、長引く乾期と縮まる野生動物との距離、さらにはその遭遇頻度に慣れる必要性に日々迫られている。(c)AFP/ Glenda KWEK