【11月2日 AFP】鳥類の有色卵は恐竜から直接受け継がれたものだとする研究論文が先月31日、英科学誌ネイチャー(Nature)に発表された。鳥類と恐竜にはこれまで考えられてきたよりも多くの共通点があることが示された形だ。

 進化史における恐竜類と鳥類のつながりは数百年前から認識されていたが、有色卵については、卵を周囲に溶け込ませるために鳥類が数回にわたり進化させたものと考えられてきた。

 現在、有色卵を産むことが確認されている生物は鳥類だけで、卵の色付けに使われる色素は赤と青の2種類のみとなっている。

 米エール大学(Yale University)で古生物学を研究するジャスミナ・ウィーマン(Jasmina Wiemann)氏が率いるチームは、米国や台湾、スイスで見つかった恐竜の卵の化石標本18点をレーザー機器で分析し、鳥類の卵と同じ色素が存在するかどうかを調べた。

 その結果、現在のモンゴルに当たる地域に約7500万年前に生息していたベロキラプトルを含む複数の恐竜の卵で同じ色素が確認された。ウィーマン氏は、「これは卵の色の進化に関する認識を一変させるものだ」と述べている。

 ウィーマン氏によると、恐竜は開放型の巣をつくりはじめた際、子どもを天敵から守るために有色卵を進化させたと考えられる。開放型の巣をつくる習性は鳥にも受け継がれ、現生鳥類のほぼ全てがふ化前の卵を外から見える状態に置いている。

 アメリカ自然史博物館(American Museum of Natural History)でキュレーターを務めるマーク・ノレル(Mark Norell)氏は「有色卵は100年以上にわたり鳥類固有の特徴と考えられてきた」とした上で、「羽毛や叉骨(さこつ)と同じように、有色卵も鳥類が出現するはるか昔に祖先の恐竜が進化させたものだと分かった」と述べた。(c)AFP