■銀河衝突を巻き戻す

 銀河系ハローに残る銀河合体の痕跡を探していた研究チームは、ハローの星々の大半が共通の特徴を持つ近い仲間であるという驚くべき結果を得た。

「化学的特徴が銀河系の『在来種』の星々とは明らかに異なっていた」とヘルミ氏は説明する。

「ハローの星々の多くが同質のグループに属している。これは共通起源を持つことを示している」

 また、光スペクトル全域の測定結果を組み入れることにより、研究チームは銀河系に侵入する恒星の運動の正確な経時的変化を立体的に再現することにも成功した。

 カナダ・ビクトリア大学(University of Victoria)の天文学者キム・ベン(Kim Venn)氏は、今回の研究結果に関するコメントで「これらの研究結果をさかのぼることで、天文学者らは銀河系がどのように形成されたか、そしてどのように進化してきたかについて調べることが可能になる」と指摘した。

 ヘルミ氏と研究チームは今回、銀河合体が約100億年前に起きたとする推算結果を得た。これは宇宙が誕生したビッグバン(Big Bang)が発生してから約38億年後のことだ。(c)AFP/Marlowe HOOD