■「全く不十分な対処」

 有資格医師と無資格医師、伝統医学を実践する医師を含む今回の調査では、医療のインド国内および国際基準に準拠しない方法で医師が対応したケースが全体の65%に及んだ。

 中には、大気汚染に関連する疾患を疑った医師が抗生物質やシロップ剤を処方し、2~3週間後にまた診察に来るように患者に指示したケースも複数あった。

 調査結果によると、正式な医療訓練を受けている医師は、特にムンバイでは、適切な治療を行う割合がやや高く、全体の約半数のケースで的確な一連の治療を提供したという。

 正式な訓練を受けていない医師は農村部に非常に多く、効果的な治療を行っている割合がより低い。「アーユッシュ(ayush)」として知られる伝統医学を提供する医師も同様だ。

 医師らがある特定の代替的な治療手順に従っていることよりも、治療をただ「手当たり次第に」行っているにすぎないことの方が問題の程度は深刻だと、世界銀行のエコノミストのジシュヌ・ダス(Jishnu Das)氏は説明する。

 ダス氏は「抗生物質とフルオロキノロン剤を処方している医師もいれば、ステロイド剤とフルオロキノロン剤を処方している医師もおり、また別の医師はせき止めシロップと抗生物質を処方している」として、こうした場当たり的な方法は、抗生物質への耐性を高めるのは言うまでもなく、患者に害を及ぼす恐れもあると説明した。

 2017年に英医学誌ランセット(The Lancet)に掲載された論文では、インドでは特に抗生物質のような薬剤が処方箋なしで簡単に購入できるため、結核の国内症例における多剤耐性結核の割合が2040年までに12.4%に達すると予測されている。

 25日に発表された論文によると、最も多いミスは、肺液の検査や胸部X線など、診断に必要な検査の指示を医師が全く出さないことだという。

「医師らの対処は全く不十分だ」と、ダス氏は指摘した。「患者の結核感染のヒントを見逃している」

 インドの公的医療システムは過剰な負担を強いられ、医師や病院の不足にあえいでいる。政府が出資する公立病院では大半の治療が無料で受けられるが、順番待ちの長蛇の列と不十分なサービスによって多くの人々が民間の医療機関による診療を求めることを余儀なくされている。

 現在は外来診療の8割近くを民間医療機関が提供しており、全体の50~70%の患者にとっては結核に関する最初の診察窓口となっている。(c)AFP/Ivan Couronne