■「美容専門家」が調合

 ラゴスでは、コスメトロジストと呼ばれる美容専門家たちがこのようなクリームを調合している。販売価格は5000~2万ナイラ(約1500~6000円)だが、月の最低賃金が1万8000ナイラ(約5500円)のこの国では法外な価格だ。

 インスタグラム(Instagram)で有名な美容専門家ペラ・オキエムテ(Pela Okiemute)氏は、自身が販売するボディークリーム「ロシアンホワイト」を、肌に「集中的にハリを与え、ハーフのような肌の色に整える」と宣伝している。

 また、映画の中でクレオパトラに扮(ふん)しているエリザベス・テイラー(Elizabeth Taylor)をラベルに使った「クレオパトラ・ロイヤル」クリームは、「明るく、輝く肌」を約束している。

 使い始めてから2週間で効果を実感できると、オキエムテ氏は話す。クリームにはコラーゲン、コウジ酸、「アンチエイジング」効果のあるカタツムリの粘液が含まれていて、安全だという。だが、同氏は詳しい成分を明らかにしなかった。

「間違った製品を使っていて、私たちの所に来る人も多い。そのような人々に解決法を提供する」。オキエムテ氏はスマートフォンを操作し、肌の漂白の証しである黒ずみの問題を抱えた顧客のクリーム使用前と使用後の写真を見せた。

■「メラニンは美しい」

 肌を漂白したアフリカの何万もの人が後悔していないとしたら、驚きだ。

 米ノースカロライナセントラル大学(North Carolina Central University)の研究者ヤバ・ブレイ(Yaba Blay)氏は、「肌の漂白は、白さと共に権力や特権を手に入れようとする人々の意識の表れだ」と指摘する。

「肌の色(を変えること)によって、自分にこれまで以上の価値があると認めてもらいたいと願う人々を多くみてきた」

 最近は、このような認識を変えようとする動きが黒人たちの間で広がっている。

 黒い肌をたたえるハッシュタグ「#Melaninpoppin(メラニンは美しい)」やほぼ全員黒人の出演者がアフリカ風の衣装を着て、自然なままの髪で演じている映画『ブラックパンサー(Black Panther)』の大ヒットなど、長い間、欧州中心だった美の概念が変わり始めている。

 だが、このような流れがアフリカに入ってきているかというのは別の問題だ。

 ケニア北部出身で、ヴィクトリアズ・シークレット(Victoria's Secret)やヴィヴィアン・ウエストウッド(Vivienne Westwood)のショーにも出たアジュマ・ナセニヤナ(Ajuma Nasenyana)氏は言う。「私の美しさが祖国よりも外国で認められているのは事実だ」

「アフリカの業界では、肌の色が薄いほど美しいとみなされる。業界の考えが変わり、黒い肌を称賛するようになってほしい」と語った。(c)AFP/Stephanie Findlay with AFP bureaux in Africa