【8月2日 AFP】プラスチックの劣化が進むと、メタンやエチレンなどの強力な温室効果ガスが放出されることが分かったとする論文が1日、米科学誌「プロスワン(PLOS ONE)」に掲載された。プラスチックの劣化はこれまで、温室効果ガスの発生源としては考慮の対象になっていない。

 研究では、プラスチック製の飲料水ボトルや買い物袋、食品容器や工業用プラスチックなどのあらゆるプラスチック製品を対象とする実験を実施した。

 その結果、「温室効果ガスを最も多く放出する」プラスチックはポリエチレンだったと、論文は指摘している。レジ袋に使われているポリエチレンは、生産量と廃棄量が世界で最も多い合成高分子化合物だという。

 プラスチックによって環境中に放出される有害な温室効果ガスの濃度に関しては、研究者らはまだ推算結果を示していない。

 論文の主執筆者で、米ハワイ大学マノア校(University of Hawaii at Manoa)海洋地球科学技術学部のデービッド・カール(David Karl)教授は、これを明らかにすることが不可欠だと主張する。80億トン以上に及ぶプラスチックが地球を汚染しており、その大半がリサイクル可能なものではなく、さらにはプラスチックの生産量が今後20年で倍増することが予想されるからだ。

「プラスチックは気候に関連する微量ガスの発生源となる。プラスチックの生産量および環境中の蓄積量の増加に伴い、このガスが増えることが予想される」と、カール教授は説明する。

「この発生源は、地球規模のメタンとエチレンの循環を評価する際にはまだ考慮に入れられていないが、重大な影響をもたらす可能性がある」

 プラスチックは有害な化学物質を水中や土壌中に放出することがすでに知られている。

 温室効果ガスは史上最高水準まで増加しており、地球の気温と海水面の上昇を引き起こし、世界各地の沿岸地域を脅かしている。(c)AFP