【6月6日 AFP】ブラジル当局が5日に公開した犯罪に関する最新統計で、2006~2016年の10年間の殺人事件による死者数が50万人以上に上ることが明らかになった。

 ブラジル政府の応用経済研究所(IPEA)と民間機関「治安に関するブラジル・フォーラム(Brazilian Forum on Public Security)」の調査によると、全統計が公開されている最新の2016年だけでも、6万2517件の殺人事件が発生した。研究者らは「ブラジルでは過去10年だけで、故意の暴力により55万3000人が命を落とした」と報告した。

 人口10万人に対する殺人発生率は30.3%で、10年前と比べて約26%増加している。また殺人発生率は欧州の30倍を超えており、ブラジルは世界で最も殺人事件の多い国の一つになっている。

 同国の長年の犯罪状況として、人口のおよそ半分を占める白人よりもはるかに被害に遭いやすいのは、貧困層の若い黒人だ。一方、白人が殺害されるケースは年間の殺人件数のうちわずか28.5%となっている。

 また、15~29歳の男性の殺人率は急増しており、人口10万人当たり281人近くが殺害されている。特にブラジル経済が混乱に陥る前、強力な新興市場国となった時期で、北部と北東部の貧しい州を中心に急増した。(c)AFP