■潜伏中の細胞

 ハンター氏の同僚のローラ・ベラ・ラミレス(Laura Vera-Ramirez)氏率いる研究チームは今回の実験で、休眠中の乳がん細胞をマウスに移植した。

 最初の実験では、半数のマウスにはオートファジーを抑制する薬剤を投与し、残りの半数にはプラセボ(偽薬)を与えた。また別の実験では、オートファジーを制御する遺伝子を改変した。

 実験の結果、どちらの方法でも「有意に」がん細胞の生存が減少し、その拡散が制限された。

 論文によると、オートファジーに頼ることができないと、がん細胞には毒性物質が蓄積し、エネルギーの生産を担う細胞小器官ミトコンドリアでの損傷が起きたという。

 ただ、実行可能な治療法の開発はまだかなり先のことになりそうだ。今後は、この治療法が人間の患者で有効かどうかを判断するための臨床試験を実施する必要がある。

 また、今回の結果を他の種類のがんに適用できるかどうかについてもまだ明らかになっていないと、ハンター氏は補足している。(c)AFP/Marlowe HOOD