【2月28日 AFP】雨が10年に1度降るか降らないかの南米アタカマ砂漠(Atacama Desert)の微小な細菌や微生物は、火星に同様の生命体が存在する可能性を示唆する存在なのかもしれない。研究論文が26日、発表された。

 アタカマ砂漠は、チリとペルーの一部に広がる地球上で最も乾燥した非極地砂漠だが、米科学アカデミー紀要(PNAS)に掲載された論文によると、ここには火星に最もよく似た環境が存在していると考えられるという。

 研究を率いた独ベルリン工科大学(TU Berlin)の惑星科学者のディルク・シュルツェマクッフ(Dirk Schulze-Makuch)教授と研究チームは2015年、アタカマ砂漠にどのような種類の生命体が存在し得るか調べる目的で現地調査を実施した。

 調査の最中に予想外の雨が降った。土壌中の生物活動が急増したことに気づいた研究チームは、すぐに殺菌消毒したスプーンを用いてサンプルをすくい集めた。

 その後、ゲノム解析によって固有種とみられる微小生命体を数種同定できた。微小生命体は大半が細菌で何年もの間休眠状態となるが、雨が降るとすぐに蘇生・繁殖することにより、過酷な環境でも生き延びられるよう適応していた。

「過去の研究では、アタカマ砂漠の表面近くで瀕死(ひんし)の状態にある生命体やDNAの断片が見つかっていたが、土壌中に生息する持続的な形態の生命体を同定したのは今回の研究が本当に初めてだ」とシュルツェマクッフ教授は指摘する。

「これらの微生物群は、火星のような惑星にあると考えられる環境に酷似した条件下で数百年あるいは数千年もの間休眠状態で過ごし、雨が降ると目覚めて活動することができると考えられる」

 2016年と2017年に追跡調査のためにアタカマ砂漠を再訪した研究チームは、土壌中の同じ微生物群が徐々に休眠状態に戻りつつあることを確認した。