【2月3日 AFP】(更新)米国防総省は2日、核戦略報告書「核態勢の見直し(NPR)」を発表し、米軍が保有する核兵器群を革新するとともに、「戦術核兵器」とも呼ばれる低出力の小型核兵器を新たに開発する方針を示した。主に近年のロシアの行動に対応する動きだという。

 2010年に続き8年ぶりに発表された同報告書は75ページからなり、ドナルド・トランプ(Donald Trump)政権下で国防総省が目指す核兵器関連の目標を概説し、今後数十年間の核の脅威に対する米軍の見解を示している。

 バラク・オバマ(Barack Obama)前大統領は2009年のプラハ演説で核兵器廃絶を訴えたが、今回の報告書はオバマ政権が示してきた核分野の展望から決別する内容。

 今回の報告書は北朝鮮、イラン、中国に対するトランプ政権の懸念を強調する一方、主にロシアに焦点を当てている。ジェームズ・マティス(James Mattis)国防長官は報告書の冒頭で「これはロシアの能力拡張と、その戦略・方針が持つ性質への対応措置だ」とした。

 国防総省は、米国が保有する高出力の通常核兵器について、使用すれば大規模な報復を招き人類の大半を死滅させる恐れがあることから、実際には起爆できないとロシアからみなされ、十分な抑止力とはならないことを懸念している。

 米軍統合参謀本部戦略計画部のグレゴリー・ウィーバー(Gregory Weaver)副部長は記者団に対し、「米国とNATO(北大西洋条約機構)は、極めて具体的な目的のため、信頼性ある低出力核兵器のより幅広い選択肢を必要としている」と説明。

 その目的とは「ロシアが同盟国との戦争において限定的な核使用に着手した場合、われわれはロシアの目標を拒絶し、そこから得られる便益よりもはるかに大きな犠牲を払わせるよう対処するということを、ロシア指導部に理解させるというものだ」と述べた。(c)AFP