■パラチフスC菌の痕跡

 研究チームは、ココリツトリ犠牲者の共同墓地に埋葬されていた遺骨29体からDNAを抽出・分析した結果、サルモネラ属菌(サルモネラ・エンテリカ)の亜種であるパラチフスC菌(Paratyphi C)の痕跡を発見した。

 パラチフスC菌は感染症の腸熱を引き起こすことが知られており、腸チフスもこれに含まれる。現在、このメキシコ亜型が人に感染するケースはまれだ。

 研究チームによると、多種のサルモネラ菌株は、スペイン人が連れてきた家畜とともにメキシコに渡った可能性があり、汚染された食物や水を介して拡散したとされる。サルモネラ・エンテリカは、中世の欧州に存在していたことが知られている。

 論文の共同執筆者で、同じくテュービンゲン大のアレクサンダー・ハービッグ(Alexander Herbig)氏は「今回の研究では、全遺伝情報(ゲノム)が得られている病原菌やDNAウイルスすべてについて検査した」が、結果的にルモネラ・エンテリカしか検出されなかったと説明した。(c)AFP/Mariëtte Le Roux