【1月12日 AFP】宇宙のかなたから飛来する強力な電波パルス「高速電波バースト(FRB)」と呼ばれるフラッシュ現象の謎の解明に一歩近づいたとする研究結果が10日、発表された。このフラッシュ現象では、わずか1000分の1秒間に太陽放射1日分を上回る量のエネルギーが放出されるという。

 2007年に初めて発見されたFRBは、日々1万回ほど発生している可能性がある。世界の天文学者らはこれまでに数十例のFRBを確認しているが、複数回の散発的な再発が確認され、追跡調査が可能なのは「FRB 121102」として知られる1例のみだ。2014年に発見されたFRB 121102は、発生源が地球から約30億光年の距離にあるとされている。

 英科学誌ネイチャー(Nature)に掲載された論文によると、FRB 121102が「観測史上最も強力な磁場が存在する空間領域の一つ」である極限環境に由来するとみられることが今回の観測結果から明らかになったという。

 同様の環境は、巨大ブラックホールの周囲に存在することが知られているが、これが唯一の答えではない可能性がある。論文は、FRB 121102の再発する電波バーストが強力な星雲または超新星残骸の内部にある若い中性子星を発生源とする可能性もあると指摘している。

 米コーネル大学(Cornell University)のシャミ・チャタルジー(Shami Chatterjee)上級研究員(天文学)は「もしこれが天の川銀河(Milky Way)内にあり、太陽系の反対側に位置しているとすると、地球上の無線通信の乱れによってその存在が分かるだろう。スマートフォンの信号レベルが飽和すると考えられるからだ」と話した。

 FRB 121102の発生源とその環境は他と異なっており、「これまでに確認されていない新しいタイプの天体」であることを示していると、論文は述べている。(c)AFP