■パートナーとの生活がもたらすライフスタイル

 1つ目は、結婚そのものが危険を減らすのではなく、パートナーと一緒の生活がもたらすライフスタイルがその要因だと考えられるということ。ゾンメルラード氏は「健康な体、食事、運動、といったよりヘルシーなライフスタイルだけでなく、話し相手となるパートナーを持つことによる社会的な刺激」もこれには含まれるとしている。

 2つ目は、生涯のパートナーを失うことによる極端なストレスが、主に記憶や学習、感情を司る海馬のニューロンに大きな影響を与えるということ。「相手に先立たれた人では認知症リスクが高く、離婚した人では変化がほぼないことがこれで説明できる」

 そして最後は、認知症リスクがその他の内在する認知および性格の特性と関連している可能性があるということ。とりわけ結婚が一般的な社会規範となっている場合、柔軟な思考やコミュニケーションに難がある個人では認知的予備力が低く(よって認知症リスクが高く)、自ずと結婚機会が少なくなっているということが考えられるというのだ。

 同じ年齢でも、年代の異なる独身者間にみられる認知症リスクの大きな違いがこのことを裏付けている。1900~1925年に生まれた独身者では認知症にかかるリスクが40%高かったが、より近年では同年齢の独身者でも同24%にとどまっていた。(c)AFP/Marlowe HOOD