【11月29日 AFP】結婚生活は何かと大変なことも多いが、パートナーと共に年を重ねることで、認知症リスクが低減する可能性があるとした研究論文が28日、医学誌「神経学・神経外科学・精神医学ジャーナル(Journal of Neurology, Neurosurgery and Psychiatry)」に掲載された。

 80万人以上のデータを対象とした今回の研究によると、生涯独身の人は、アルツハイマー病やその他の認知症にかかるリスクが約40%高くなっていることが分かったという。また長い同居生活の後に独り身となった場合も約20%のリスク上昇が見られた。

 研究はロンドン大学ユニバーシティー・カレッジ(University College LondonUCL)の研究者アンドリュー・ゾンメルラード(Andrew Sommerlad)精神科医らによるもの。研究では、正式に結婚せずに一緒に暮らしているカップルについても結婚しているものとみなされた。

 興味深いことに、離婚経験を持つ高齢者では、認知症リスクが既婚カップルと同等レベルにとどまっていることが研究では確認された。

 結婚と認知症との関係を探るために、ゾンメルラード氏と研究チームは先行研究15件、計12か国の81万2000人分のデータを調べた。

 多くはスウェーデン人のデータだったが、フランス人、ドイツ人、中国人、日本人、米国人、ブラジル人などのデータも少なくなかった。驚きだったのは、各文化を通じて結果にばらつきがほとんど見られなかったことだという。

 今回行われたのは観察研究だったため因果関係をしっかりと示すことはできないが、導き出された結果は、相互に整合性のある少なくとも3つの説明を示唆するものとなった。