【11月9日 AFP】大気汚染が深刻なインドの首都ニューデリーで7日、大気汚染レベルが世界保健機関(WHO)の安全基準の30倍近くに達したため、当局などが公衆衛生緊急事態を宣言し、全学校の休校を命じた。

 ニューデリー市内は厚いスモッグに覆われている。米大使館のウェブサイトによれば、同市内における人体に有害な微小粒子状物質「PM2.5」の指数は700を超えた。この数値はWHOの安全基準の28倍に当たる。インドの環境汚染規制当局は、今後数日間は状況が悪化すると警告している。

 インド医師会(Indian Medical Association)は公衆衛生緊急事態を宣言し、ニューデリーの自治体に「全力を挙げてこの脅威を食い止めるよう」呼び掛けた。

 デリー首都圏のマニッシュ・シソディア(Manish Sisodia)副首相は8日、ニューデリーの全学校を12日まで休校とするよう命じたことを発表した。統計によれば、ニューデリーの公立・私立学校6000校には、約500万人が通っている。

 WHOは2014年の報告で、ニューデリーの大気汚染は中国・北京を上回り、世界で最も深刻だと指摘している。以来、ニューデリー当局は火力発電所を一時的に閉鎖し、車の通行量も制限するなどの措置を実験的に講じてきたが、住民の多くは対策がまったく追い付いていないと不満を漏らしている。

 デリー首都圏の大気汚染は、冬が訪れる前に悪化するのが典型だ。空気が冷たくなると対流が抑えられ、汚染物質が地上近くにたまりやすくなるためだ。(c)AFP