■霊長類が他の哺乳類より昼間の生活への適応力が高い理由

 マオール氏と研究チームは現存する哺乳類2415種を対象として行動様式を分析。コンピューターアルゴリズムを使用して、進化系統をさかのぼった最初期の哺乳類に至るまでの祖先が取っていたとみられる行動パターンを再構成した。

 論文によると、最初期の哺乳類の祖先が出現したのは2億2000万~1億6000万年前で、爬虫類の祖先から分かれて進化した。哺乳類の祖先はその頃から夜行性だったとみられるのに対し、恐竜は昼行性で、現代の爬虫類のように体を温めるために日光を必要としていた可能性が高い。

 今回の分析データは、哺乳類が中生代末まで夜行性のままだったことを示している。今から約6600万年前の中生代の終わりに小惑星衝突とみられる大規模災害が発生し、恐竜と地球上の生命の約4分の3が死滅した。

 一方、当時は大部分が小型で足の速い動物だった哺乳類は生き延び、繁栄した。大半は夜行性のままで、一部が昼行性に移行したが、それ以外にも両方の性質を少しずつ併せ持つようになった現代のネコ、ゾウ、ウシなどの哺乳類動物もいる。

 研究チームの調査によると、霊長類の祖先は完全な昼行性に移行した最初の哺乳類の一種で、移行時期は約5200万年も前だったとされる。つまり、人間を含む霊長類が哺乳類の他の種より他の昼間の生活様式により適応しているのは、進化と適応に費やす時間がより長かったことが原因として考えられる。

 夜から昼への移行が起きた理由については不明だが、初期哺乳類に対する「捕食リスクの減少」がその理由の一つだった可能性があると、マオール氏は指摘している。(c)AFP/Mariëtte Le Roux