【11月3日 AFP】マンモスの化石にはなぜ雄が多いのか?この謎を解明したとする研究論文が2日、米科学誌カレント・バイオロジー(Current Biology)に発表された。

 現代の野生ゾウと同様に、氷河時代のマンモスの若い雄も単独で行動する傾向があり、雄は雌に比べて川に落ちたり、氷を踏み抜いて落下したり、沼地や陥没穴にはまったりなどの危険な状況に陥るケースが多かった可能性が高いと、研究チームは主張している。このような場所で絶命した個体の骨は数千年もの間保存されるのだという。

 一方で、群れで行動していた雌の場合、群れを率いる年長の雌のリーダーが地形を熟知しており、仲間の雌たちを危険から遠ざけていた。

 論文の共同執筆者で、スウェーデン自然史博物館(Swedish Museum of Natural History)のロベ・ダレン(Love Dalen)氏は「経験豊かな雌が率いる群れで生活する恩恵を受けられなかった雄のマンモスは、沼地、深い割れ目、湖などの自然の落とし穴にはまって命を落とす危険性が雌より高かった可能性がある」と話す。

 今回の研究では、シベリア(Siberia)に生息していたケナガマンモス(学名:Mammuthus primigenius)98頭の化石の性別を判別するため遺伝子データを使用した。

 その結果、化石サンプルの69%が雄であることが分かった。この性比は、雄と雌の生まれる比率がほぼ均等だとすれば著しく偏っている。

 論文の筆頭執筆者で、同じくスウェーデン自然史博物館のパトリシア・ペスネロバ(Patricia Pecnerova)氏は「化石記録に性別の偏りがあることを予想させる理由は何もなかったので、この結果には非常に驚いた」と述べている。

 そこで研究チームは、生活様式に関する何かがマンモスの死に方に影響を及ぼしていたと考えるに至った。

「マンモスや他の氷河期の動物の骨や牙、歯などの大半は残存していない」と、ダレン氏は説明する。「シベリアで発見される化石が今日まで保存されていたのは、それらが埋没したために、風化作用から保護されていたからである可能性が非常に高い」

 牙を持つ大型草食動物のマンモスは約4000年前に姿を消した。気候の温暖化と人による狩猟の増加が、その原因とされている。(c)AFP