■ロヒンギャ排除で空いた「価値の高い土地」

「過激なロヒンギャ排除によって空いた土地は、ミャンマー軍にとっても、国の経済発展をけん引する軍の役割にとっても、興味を引く存在となっている可能性がある」と、米コロンビア大学(Columbia University)のサスキア・サッセン(Saskia Sassen)教授(社会学)は指摘する。「これらの土地は、中国のプロジェクトによって価値あるものとなっている」

 ミャンマー政府は今週、焼けてしまったラカイン州の土地すべてを「再開発」目的で管理すると発表した。バングラデシュへ避難を余儀なくされた大勢のロヒンギャたちにとって、これがどういう意味を持つかは分からない。彼らがいつ、どうやって帰還できるのかも疑問だ。

 ラカイン州は資源が豊富な一方、ミャンマーで最も貧しい州で、人口の78%が貧困ラインを下回っている。これはミャンマー全国平均の2倍に当たる。

 古くからラカイン州に暮らす仏教民族ラカイン族も、地域一帯に対する投資増大の恩恵をほとんど受けておらず、ミャンマーの多数派民族バマー(Bamar)の動機に疑念を抱いている。世論には、ミャンマー各地に広がる中国の影響力への不快感もある。

 ラカイン州に詳しいフランス国立東洋言語文化研究所(Inalco)のアレクサンドラ・デ・メルサン(Alexandra De Mersan)氏は、「ラカイン州における中国の大規模プロジェクトは、何の副産物も得ていない地元の住民たちをひどく怒らせている」と話した。

 8月に発表されたコフィ・アナン(Kofi Annan)元国連(UN)事務総長が率いたラカイン州に関する調査報告では、ラカイン州では「利益が中央政府と外資系企業との間で分配される傾向があり、その結果、地元コミュニティーはしばしば中央政府を搾取的だと見なしている」と指摘している。(c)AFP/Marion THIBAUT, with Julien Girault in Beijing