■緩和策は有意

 インドには12億5000万人、パキスタンとバングラデシュには3億5000万人が暮らしている。2015年、インドとパキスタンの広い地域に熱波が押し寄せ、約3500人が死亡した。これは近代史上で5番目に大きな被害規模となった。

 だが研究チームによると、今回のモデルは希望の光ももたらしている。今後数十年にわたって温暖化抑制対策が講じられるシナリオの下では、有害な湿球温度にさらされる人口の割合は現在の0%から2%の増加にとどまると考えられるという。

 このシナリオでも気温は(31度を上回る)危険な水準に達するとみられるが、人間の生存を脅かす限界値にはそれほど近づくことはないと考えられる。

 論文の主執筆者で、MITのエルファテ・エルタヒール(Elfatih Eltahirhe)教授(環境工学)は「公衆衛生と猛暑の軽減という観点では、緩和策は有意だ」と話し、「緩和策を講じることで、これらの深刻な予測が回避可能になることが期待できる。これは避けられないことではない」と説明した。(c)AFP