■外国人居住者にとって「悪夢」

 個人にはさほど影響しない問題と思われるかもしれないが、カタールで暮らす270万人のうち約9割が外国出身者で、断交は市民生活に重くのしかかってきている。レバノンからの駐在員の女性は、「断交は悪夢。早急に解除されるよう願っている」と述べた。

 中でも夏季休暇を国外で過ごそうとする人にとって、問題は明白だ。あるヨルダン人男性は、断交による飛行規制により同国首都アンマン(Amman)からドーハに行くのにオマーンのマスカット(Muscat)を経由しなければならず、「乗り継ぎに6時間かかった」と嘆いた。

 人道上の問題も生じている。湾岸諸国が自国内に暮らすカタール人に対して出国を命じると同時に、カタールにいる自国民に帰国を要請したことは多大なる影響をもたらしている。

 カタールの国家人権委員会(NHRC)は、1万3300人以上が「直接的な影響」を被っていると指摘。UAEに夫と子どもと暮らしているカタール人女性が、UAEからの出国を命じられたとの報告もある。

 国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)は、サウジアラビアとカタールとの国境地点で先月17日から立ち往生させられている男性について懸念を表明している。気温が連日45度に達する場所だ。

 サウジアラビアは、男性はカタール人だと主張する一方で、カタール側は男性の市民権は1990年代に剥奪されたとしている。HRWはカタールに対し、男性の入国を認めるよう要請している。(c)AFP