【6月8日 AFP】スウェーデン中部の駐車場ビルに散乱するビールの空き缶や嘔吐(おうと)物まみれの新聞紙、そしてアルミホイル──これは難民認定申請中のアフガニスタン人たちが寒さをしのぐためにここに入り、そしてヘロインを吸ったことを示す残骸だ。

「ヘロインを吸ってると…落ち着くし、不安が消え去る」とAFPの取材に語るのは16歳の青年マフディさん。彼はスウェーデンに来てからヘロインを覚え、そのまま依存するようになったという。

 首都ストックホルム(Stockholm)から車で北に1時間ほどの距離に位置する学術都市ウプサラ(Uppsala)は、保護者がいない18歳未満の難民約1000人の受け入れを表明している。

 うち100人ほど――そのほとんどがアフガニスタン人だ――は、平均で1年以上かかる難民認定申請の手続きを待つ間に、ヘロインの使用が見つかり、身柄を拘束された。これらの若者の間でドラッグがまん延していることについては、スウェーデン当局も把握している。

 首都ストックホルムでは2016年、少なくとも難民認定申請中の若者1000人が薬物依存症の治療を受けた。保健当局はそのほとんどが未成年の男子だと指摘するが、彼らの国籍については言及を避けた。

 ウプサラ警察で麻薬取り締まりの担当責任者を務めるアンデルス・ニルソン氏(38)は、この流れを問題視し、私服警察官のチームと共に、若いヘロイン依存症患者を救うべく、日々市内を監視している。

 他方で、社会福祉当局のヒルデ・ウィーベリ氏は「難民認定申請の結果を待つのはとてもつらいこと」であると指摘し、多くの難民認定申請者が過去のトラウマ(心の傷)が原因で精神的に不安定な状態にあることを補足した。

■強制送還、そして殺害のリスク

 マフディさんはヘロイン依存症を克服し、スウェーデンの永住権を取得した。「(もし)永住権がなければ…アフガニスタンに強制送還される」と彼はAFPに語った。

 アフガニスタンに戻るということは、旧支配勢力タリバン(Taliban)、もしくはイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」から狙われ、殺害されるリスクにさらされることを意味する。

 スウェーデンで難民認定を申請する保護者不在の未成年では、アフガニスタンの出身者が最も多い。難民認定される割合は約80%に上るという。移民局によると、今年はこれまでに1321件の難民認定申請が受理されたが、うち200件が却下されているのみという。

 ヘロインの所持および使用については、常習でない限り難民認定の申請に悪影響を及ぼすことはない。ただ、犯罪行為に関してはその限りではないとウプサラ警察のダニエル・ラーション(Daniel Larsson)警視は注意を促す。