■最遠最古の重力波

 検出可能な重力波の「さえずり」を発生させた今回のブラックホール合体は、2個のブラックホールが融合して、太陽の約49倍の質量を持つ新たなブラックホールを形成した際に起きた。

 LIGOが最初に検出した合体ブラックホールの質量は太陽の62倍、2例目は21倍で、今回のサイズはそれら2つの例のほぼ真ん中に当たる。

「太陽質量の20倍よりも大きな恒星質量ブラックホールの存在にさらなる裏付けが得られた。この種の天体はLIGOによって検出されるまでその存在が知られていなかった」と、シューメーカー氏は述べた。

 2015年9月の史上初の重力波直接観測では、13億光年先で起きた現象が検出された。そのすぐ後の2015年12月に観測された2例目の重力波は、14億光年先で放射されたものだった。

「GW170104」と呼ばれる3例目の重力波信号は、2017年1月4日に検出された。今回の重力波現象は、先の2つの現象より2倍以上古く、地球からの距離も2倍以上ある。

 LIGO研究所のエグゼクティブディレクターを務める米カリフォルニア工科大学(Caltech)のデービッド・ライツェ(David Reitze)氏は「ブラックホール2個の合体で発生した重力波の3例目の検出が確認されたことで、LIGOは宇宙の暗黒面を解明するための強力な観測所としての地位を確立しつつある」と話す。

「LIGOはこの種の現象を観測するのに比類なく適しているが、近い将来には、中性子星同士の激しい衝突などの別の種類の天体物理学的現象が観測することを期待している」 (c)AFP/Kerry SHERIDAN