■問題の過小評価

 凍結防止剤からの塩類の大半は、近くの湖や池へと流され、地下水、河川、湖沼などの塩化物汚染の主要な発生源となる。

 研究チームは、車道や駐車場、歩道などの水を通さない地表(不浸透面)に散布される道路用塩の量を測定するため、調査対象の各湖の周囲100メートルから1500メートルまでの緩衝帯内にある道路とその他の被覆面積を見積もった。

 結果は明白だった。湖岸線から500メートル以内にある道路などの不浸透面は、水中の塩素濃度の上昇を予測する強力な要因となっていた。

 この結果を北米の湖沼地帯にあるすべての湖に当てはめると、約7770の湖が塩分上昇のリスクにさらされている可能性があることになる。

 論文の共同執筆者で、米ダートマス大学(Dartmouth College)の大学院生のフローラ・クリバク・テトリー(Flora Krivak-Tetley)氏は、「これらの結果は、塩類化問題の過小評価されている可能性が高い。カナダのケベック(Quebec)州や沿海州など、道路用塩が多量に散布される多くの地域では、長期の湖データが得られていない」と述べた。

 湖水中の塩化物濃度の上昇は、水中生態系の食物網の基盤を成す魚、無脊椎動物、プランクトンなどの構成を変化させることが明らかになっている。

 これにより、水生動物種の減少につながることが考えられる。極端な場合には、塩類化が低酸素状態を引き起こし、水生生物を窒息させ、水質を低下させる恐れがあると、論文は指摘している。(c)AFP/Jean-Louis SANTINI