【2月24日 AFP】オーストラリアにある世界最大のサンゴ礁グレートバリアリーフ(Great Barrier Reef)が昨年、過去最大規模の白化現象を起こしたことを受け、専門家らは24日、同国が打ち出した長期保全計画が少なくとも20年は後退したとの見方を明らかにした。

 全長2300キロを誇る世界最大のサンゴ礁であり、オーストラリア観光の大きな目玉の一つとなっているグレートバリアリーフは、農業廃水やオニヒトデ、さらには開発や気候変動などによりダメージを受けている。昨年は海水温度の上昇により広い範囲で壊滅的な白化現象が発生。グレートバリアリーフ北側部分では、浅瀬にあるサンゴ礁の3分の2が消滅した。また、専門家らは今後数か月でさらなる被害に直面しうると警告している。

 豪政府は昨年12月、国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)の世界遺産委員会(World Heritage Committee)に、「リーフ2050(Reef 2050)」と呼ばれるグレートバリアリーフの長期保全計画の最新版を提出し、グレートバリアリーフは「死滅に向かっていない」と主張するとともに、状況の改善策を提示した。

 しかし同委員会の委託を受けてまとめられた第三者機関による報告書は、昨年の「過去に類を見ない」規模の白化現象とサンゴの死滅は「流れを一変させる事態」であり、政府が目標を達成できる可能性はほとんどないと結論付け、「被害の深刻さ、そして回復の道のりに遅れがみられることを考慮すると、リーフ2050の包括的目標は少なくともさらに20年は達成不可能だ」と述べてしている。(c)AFP