【2月1日 AFP】1億9500万年前に生息していた首の長い草食恐竜の肋骨(ろっこつ)から、これまでに化石から回収された中で最古の軟組織の痕跡とみられるものが見つかった。研究論文が1月31日、発表された。

 今回の発見により、大昔に絶滅した動物の生態と進化に関する貴重な手掛かりを引き出す機会がもたらされると、研究チームは英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)に発表した論文で主張している。

 こうした手掛かりを示す情報は硬骨格の化石にはほとんど残っていないが、化石記録の大半は硬骨格だ。

 論文の共同執筆者で、カナダ・トロント大学ミシサガ校(University of Toronto at Mississauga)のロバート・ライス(Robert Reisz)教授はAFPの取材に対し、「今回の研究で、1億9500万年前の恐竜化石に残るタンパク質の存在が示された。これまでの同様の発見より1億2000万年以上古い」と語った。

「これらのタンパク質は、動物の軟組織の構成要素だ。タンパク質がどのような仕組みで保存されたかについての解明は非常に興味をそそられる」とライス教授は続けた。

 ライス教授と研究チームは、ジュラ紀前期に広く生息していた恐竜、ルーフェンゴサウルス(Lufengosaurus)の肋骨を詳細に調べた。この恐竜は、成長すると体長が約8メートルに達した。

 骨の内部について、特にどのような化学物質が含まれているかを調査するために研究チームが使用したのが、台湾にある国立シンクロトロン放射線研究センター(NSRRC)の光子ビームだ。

 調査の結果、肋骨内の微小な管の内部で、コラーゲンタンパク質の痕跡が発見された。これらは「生きた恐竜の骨細胞に血液を供給していた血管の名残である可能性が高い」と、研究チームは結論付けている。

 研究チームによると、これまでの大半の研究は、化石の他の部位を溶解させて有機物質の残留物を抽出していた。だがシンクロトロン放射光を用いる方法では、この処理は不要であり、今後は恐竜の骨を傷つけずに、さらに古い残留物を発見できる可能性がある。

 これにより、DNAを採取して恐竜のクローンを作製できるような未来が一歩近づくのだろうか。

 この問い掛けに対してライス教授は、「いや、それはまだ空想の域だ」と答えた。(c)AFP