【1月25日 AFP】怒りっぽさや寛容さなど、人の性格の特徴と脳の形との間には関連性があるとする研究論文が25日に発表された。

 研究者らが関連性があると主張しているのは、脳の構造的な差異と主な「性格の5因子」だ。 研究論文が英学会誌「Social Cognitive and Affective Neuroscience」に掲載された。

 心理学者らはこれまでに、主な性格の5因子を説明する「ビッグファイブ」という考え方を提唱している。5つの因子には、神経症傾向(どれくらい気難しいか)、外向性(どれくらい積極的か)、開放性(寛容さ)、協調性(利他性の尺度)、誠実性(自己統制力の尺度)がある。

 今回の研究では、22歳~36歳までの500人以上の脳スキャン画像を使って、灰白質としても知られる大脳皮質の差異を調べ、これら5因子との関連性を探った。具体的には、大脳皮質の厚みや表面積、しわの数といった対象とその組み合わせを見た。

 研究論文の共同執筆者でイタリアのマグナ・グラエキア大学(Magna Graecia University)のロベルタ・リッチェリ(Roberta Riccelli)氏は、「われわれは、神経症傾向が…厚い大脳皮質と脳の狭い部分およびしわに関連があったことを発見した」と述べ、逆に開放性は「薄い大脳皮質、広い部分としわに関連があった」 と例を挙げた。

 リッチェリ氏がAFPの取材に語ったところでは、研究は「ビッグファイブ」の特徴と脳の形状とを明確に関連づけた初めてのものだという。

 研究は、何世紀もの間にわたり哲学者や科学者を悩ませている「人は生まれか育ちか」の問題にも触れている。ただ、執筆者らは、脳の形状が性格のタイプを決定すると結論付けることはできないとした。

 リッチェリ氏は「卵が先か、ニワトリが先かの問いに答えることはできない」とした上で、脳の形それ自体は、遺伝および環境の諸要素によって決定されていると説明している。(c)AFP/Mariëtte Le Roux