■必要なのは全社的取り組み

 英ロンドン大学シティー校(City, University of London)で労働環境を専門とするピーター・フレミング(Peter Fleming)教授は、多くの被雇用者が、勤務先企業の「勤労主義」に苦しむ一方で、「自身の労働者としてのアイデンティティーへの過度の執着」という問題もあると指摘している。

 フレミング教授はAFPに対し、「多くの人にとって、仕事というものが、自分がすることから、自分そのものに変わってきている」「四六時中の電子メールが、その傾向にますます拍車を掛けている」と述べた。

 そのように考えれば、フランスのように法律で規制するのか、企業が自発的に推進していくのかという違いは別にしても、勤務時間外のアクセス遮断に向けた会社全体での取り組みは歓迎すべきものであり、時には必須でもある。

 フレミング氏は、ロンドン大のMBA(経営学修士)コースで学ぶ意欲的な学生たちは、自分に対する評価が下がることを恐れて勤務時間外のメール遮断には本能的に反発するだろうとみている。

 このため、アクセス遮断の取り組みは「個人ではなく全体で行わなければならない。同僚が皆ログオフしていると分かっていれば、自分もログオフするかもしれない」と、フレミング氏は提言している。

 過労や燃え尽き症候群のリスクが高いのは、特に金融、IT、法曹、医療といった業界とされるが、最近では大企業の中にも、こうしたリスクを認識する会社が増えつつある。(c)AFP/Adam PLOWRIGHT