■依然残る多くの疑問

 研究チームは今回の分析で、アスパラガスを食べた後に独特なにおいの尿を排出するかという問いに対して「非常にそう思う」と答えた人を「アスパラガスを嗅ぎ分ける人」に分類。それ以外を、アスパラガス嗅覚障害がある人としてリストアップした。

 BMJ誌に発表された研究論文のタイトル「有意な『尿値(Pee values)』の嗅ぎ分け:アスパラガス嗅覚障害のゲノムワイド関連解析」は、科学的研究で統計的有意性を示すのに使われる「P値(P value)」をもじったものだ。

 一方で論文の執筆者らは、一つの疑問は答えに近づいたが、多くの疑問が依然として残っていると指摘している。

 アスパラガスに栄養が豊富に含まれているなら、なぜそれを食べることで一部の人にとってもう一度食べる意欲を失わせるようなにおいを発生させるのだろうか。また、アスパラガスのにおいを嗅ぎ取る遺伝子変異がある人とない人がいる原因となった進化的淘汰(とうた)を促進させたのは何だったのか。

 そして「科学者らは今回の研究結果を受けて、嗅ぎ取る人を嗅ぎ取れない人に変えるために、遺伝子編集技術を適用するだろうか」と問いかけた。

 研究チームは「アスパラガス嗅覚障害の人々に、自分に何が欠けているかを分からせる助けとなる標的療法を検討する」には、さらに研究を重ねる必要があると述べている。(c)AFP