■警告徴候

 研究を率いたIRBのサルバドール・アスナール・ベニター(Salvador Aznar Benitah)氏は、AFPの取材に「われわれの研究が将来的に、腫瘍が転移を起こす理由と仕組みに関する理解の向上に寄与するだけでなく、転移細胞を攻撃する方法を考案するための新たな一歩となることを期待している」と話す。

 ベニター氏は、取材に応じた電子メールで「現在は、人に投与するための新たな遮断抗体の開発を進めている。この遮断抗体については、患者への臨床試験を比較的短期間(4~10年)で実現したいと考えている」と説明した。

 その上で、がんの転移における脂肪と食事の役割を検証するためには、さらに研究を重ねる必要があると述べ、「だが、今回の結果が警告徴候であることは確かだ。食事で摂取する脂肪酸に対して、転移細胞が極めて高い感受性を持つことを、今回の結果が強く示している」と続けた。

 がん患者は通常、治療による体への負担に対処するため、多くのカロリーを必要とする。そのような理由からも、今回の研究結果には慎重な態度で臨む必要があるとの声も一方では上がっている。(c)AFP/Mariëtte Le Roux