【12月1日 AFP】ミャンマーで今年、子どもに対する性的虐待の件数が昨年に比べて4割増加したことが明らかになった。国営メディアが先月30日、報じた。人権侵害という暗い過去の払拭(ふっしょく)に努める同国で、なお問題が拡大している現状を浮き彫りにした形だ。

 ミャンマーの子どもたちは、貧困と脆弱(ぜいじゃく)な法体系が災いし、虐待被害に遭う危険にさらされている。多くの場合金銭で売買され、強制労働させられたり、国境地帯での戦闘を強要されたりしている。

 人権活動家らは、さらに多くの子どもたちが、富裕世帯やコミュニティー内での家事労働者として、公になることなく搾取される恐れがあると訴えている。

 ミャンマーでは10月末の時点で、全国で380件の児童わいせつ事件が報告された。これは前年の同時期に比べて150件の増加であり、全国で報告されている性的暴行の事例の半数を占めるという。

 しかし専門家らは、これらは氷山のほんの一角でしかない可能性もあると警鐘を鳴らしている。泣き寝入りがまん延し、被害者の方が責められるという文化背景もあり、虐待事件が表面化しないまま横行しているからだ。

 発生件数が倍増したマンダレー(Mandalay)の警察幹部はAFPに対し、「加害者は家族や近隣住民、親戚、被害者の家族に近い人物であることが大半」で、「兄弟が姉妹を、父親が娘を虐待している」と明かした。

 半世紀にわたって非情な軍政支配の下に置かれたミャンマーでは、民主的に選出された新政府が改革を目指していく上で、児童保護策の強化は重要課題の一つとなっている。(c)AFP