【11月30日 AFP】世界保健機関(WHO)は29日、世界のHIV(ヒト免疫不全ウイルス)感染者の半数近くが自らの感染に気付いていないとして、自家検査キットへのより広範なアクセスを呼びかけた。

 WHOによると、2015年の推定では、HIVウイルスの感染者の40%、すなわち全世界で1400万人以上は感染についての自覚がないとしている。診断の欠如は、WHOが勧告する、全てのHIV感染者への抗レトロウイルス療法(ART)の提供を実施する上で障害となっている。

 12月1日の「世界エイズデー(World AIDS Day)」を前に、スイス・ジュネーブ(Geneva)で会見したWHO・HIV対策局のゴットフリート・ヒルンシャル(Gottfried Hirnschall)局長は、「HIV陽性であることを知らないために、感染者の多くは、治療開始のタイミングが遅くなっている」ことを指摘した。

 WHOのマーガレット・チャン(Margaret Chan)事務局長は、自家検査キットへのより簡単なアクセスで、驚くほど大きな変化が期待できるとしている。声明でチャン氏は、「自己検査は、多くの人々が自らのHIV感染状況を知り、治療を受ける方法を見つけて、予防サービスにアクセスする扉を開くものとなる」と述べている。

 同日、欧州ではHIV感染者のおよそ7人に1人が自分の感染に気付いていないとの報告が、欧州連合(EU)とWHOによって発表された。(c)AFP/Nina LARSON